第53回定時総会 2021年6月1日(議案・採択文・宣言)

議案

採択文集

総会宣言(全文)

コロナ禍を乗り越え、真の人間尊重の社会を築き上げよう

 私たちは「激動をよき友に、強靭な企業と地域を築き上げよう」のスローガンを掲げ、第53回定時総会をオンラインで開催しました。
 世界では新型コロナウイルスの感染拡大により多くの尊い命が失われ、経済・社会は深刻な打撃を受けています。
 多くの中小企業もかつてないほどの危機に直面する中、私たちはこれまでの同友会運動で蓄積されてきた知恵や教訓などに学びながら、活動を止めずに、「1社もつぶさない」「雇用を守り地域を守ろう」と会員同士が励まし合い、未曾有の難局に立ち向かってきました。
 「経営者である以上、いかに環境が厳しくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任があります」。各同友会では、この「中小企業における労使関係の見解」(労使見解)で示された経営姿勢の大切さを会員企業に呼びかけてきました。全国の会員企業の実践は、この経営姿勢に基づいて「人を生かす経営」に取り組むことが、難局を乗り切る大きな力となることを改めて明らかにしています。
 さらに、会員企業の声や影響調査をもとにした同友会の政策要望・提言の活動は、国や自治体を動かし、中小企業支援施策の強化にもつながっています。
 私たちはこの間の経験を通して、これまでの先人たちが幾多の実践の中から築き上げてきた「人を生かす経営」=「労使見解」や同友会の三つの目的、「自主・民主・連帯の精神」「国民や地域と共に歩む中小企業」の同友会理念、そして同友会運動の普遍性と先進性に確信と誇りを深めました。
 世界では今、新型コロナが格差拡大や気候危機、人権問題など社会の抱える多くの課題を改めて浮き彫りにしています。アフターコロナの社会は、コロナ前の社会に戻すのではなく、新たな次元の社会の創造が求められています。
 国際的に今、国連の SDGs(持続可能な開発目標)や「ビジネスと人権」指導原則など、人間尊重、人権尊重の企業や社会をめざす動きが強まっています。
 私たちが幾多の困難を「人を生かす経営」「人間尊重の経営」で乗り越えてきたように、山積する人類史的課題を乗り越えるためには、「人間尊重の社会」へと大きく舵を切ることが求められています。それは、かけがえのない人間の命を大切にし、国民の暮らしや生活を守り、すべての人がその素晴らしさを発揮できる社会と言えます。また、中小企業の役割が正しく評価され、経営努力が正当に報われる社会でもあります。
 一部で「中小企業再編」が言われていますが、ポストコロナの経済再生を支えるのは、企業数の99.7%、雇用の7割を担っている中小企業にほかなりません。  私たち中小企業には、地域や業界を支え、社員やその家族の生活や生涯設計を保障する使命があります。その使命を果たしていくために、企業経営の中で科学性・社会性・人間性を高めることは、「すべての人がその素晴らしさを発揮できる社会」づくりにも貢献できるものです。そうした矜持のもと、すべての国民の皆さんと手を携えて、このコロナ禍も乗り越えていくことを決意し、本総会の宣言とします。

2021年6月1日
中小企業家同友会全国協議会第53回定時総会