第36回定時総会 2004年7月15日~16日(宣言)

総会宣言

私たちは、7月15、16日の2日間、「めざそう、中小企業が主役の日本、同友会理念で地域に活力を!」のスローガンを掲げ、第36回定時総会を岡山で開催しました。1200名を超える代議員は、16の分科会で熱心に議論を重ね、高い志を堅持して今後の同友会運動を推進することを誓い合いました。

日本経済は「回復基調」にあるとはいえ、業種間や大企業と中小企業、地域の間に景況格差は広がり、医療・年金など社会保険料の負担増による国民の手取り収入の減少は消費需要の回復を遅らせ、世界経済の不安定さも加わって、中小企業経営の環境をきびしいものにしています。

こうした状況下にあって、私たちは、1993年第25回定時総会で提起した「21世紀型企業づくり」にまい進することがいかなる苦境をも乗り越える力となることに改めて確信を深めることができました。21世紀型企業すなわち、(1)自社の存在意義を改めて問い直すとともに、社会的使命感に燃えて事業活動を行い、国民と地域社会からの信頼や期待に高い水準でこたえられる企業、(2)社員の創意や自主性が十分に発揮できる社風と理念が確立され、労使が共に育ちあい、高まりあいの意欲に燃え、活力に満ちた豊かな人間集団としての企業、この内容の実現をめざし企業改革に努力してきました。

本総会においては、21世紀型企業づくりの進捗度が検証されました。その結果、第1に、理念重視の経営こそ、強じんな体質の企業づくりの基本であるとの認識が広がっていること、第2に、同友会運動の柱である経営指針の確立と実践、人材育成活動のベースに「労使見解」の精神をすえることが定式化されてきていること、第3に、同友会企業は地域や業界の活性化を担う頼もしい旗手として、期待と信頼が高まってきていることが明白になりました。私たちは、21世紀型企業づくりを提唱してから11年間の活動にいっそう確信を深め、さらに質の高い学びあい活動を進めることを決意するものです。

近年、私たちは、経営環境改善運動の最重点課題として、「金融アセスメント法」制定運動に取り組んできました。同法はまだ制定されてはいませんが、101万名余の国会請願署名、850地方議会からの国への意見書決議などは国政をゆるがすものとなり、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の策定、「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」の改訂など金融政策ではいくつかの前進を見ることができました。私たちは、さらに同法実現への声を高めていきます。

このような同友会運動の広がりのなかから、私たちは、空洞化を克服し国民生活の安定をめざす真の担い手としての中小企業の役割を重視し、国の政策の中軸に中小企業をすえる「中小企業憲章」の制定を昨年来提唱してきました。この運動を強力に推進するためには、会員自身が、自社の経営課題と将来展望に照らしながら、「憲章」の意義について理解を深めるための大学習運動が必要です。同時に、地域経済の活性化を進めるために、各同友会が、「中小企業振興基本条例」の制定および見直しを併行して進めることです。「憲章」と「基本条例」制定運動を同友会3つの目的の総合的実践の中に位置付け、各企業の経営指針および各同友会のビジョンとの関連を明確にし、企業づくり、人づくり、地域づくり活動のさらなる充実をめざします。

本年は、中同協設立35周年の節目の年にあたります。私たちは、「中小企業憲章」の制定が同友会運動の歴史の中で創造的に形成され、発展してきた理念にもとづく必然的な運動方向であることに確信を持ち、さらに持続可能な平和で豊かな未来社会の建設という全人類的課題に挑戦する気概を持って本年も限りない前進を続けることを決意し、本総会の宣言とします。

2004年7月16日
中小企業家同友会全国協議会 第36回定時総会