第14回障害者問題全国交流会 2008年9月20日

交流会宣言

 私達は今、どのような社会を目指しているのでしょうか。

 今から60年前の1948年12月10日、世界の国々は国際連合の総会で高遠な理想を「世界人権宣言」として採択しました。 その第1条には次のような一文が記されています。「すべて人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利とにおいて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、同胞の精神をもって互いに行動しあわなければならない。」

 人類に多大な惨禍をもたらした第二次世界大戦を教訓としたこの人権に関する世界宣言から60年たった今、私達はいまだ厳しい状況に置かれている障害者へと思いをはせるに至り、その成果は国連障害者権利条約の採択・発効へと結実しました。

 しかし、「すべて人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利とにおいて平等」であるというこの高遠な理想は、実際の私たちが生きている社会の中にどの程度生かされているのでしょうか。

 今年で創立より50年を超える歴史を持つ中小企業家同友会は、「労使見解」の精神に基づく経営指針成文化運動などを行い「人間尊重の企業づくり」を進めてきました。今から25年前の1983年には、経営者団体として異色の障害者問題全国交流会を初めて開き、以来、障害者雇用や、共に生きる企業づくり、地域づくりに力を入れてきました。このように、私たちは障害者とのかかわりを通して、人間らしい生き方を真剣に探し求め、具体的に地域での共生社会作りを実践してきました。

 この交流会では、多くの中小企業家と、複数の働く障害者や障害者の自立を支援する行政や市民達、そして次代を担う学生達が一堂に会しました。 皆様と交流する中で、今、生きること、働くこと、経営することの原点をそれぞれの立場から改めて見つめ直し、それぞれが今できることを浮き彫りにしてきました。そして、共に人間尊重の社会を目指す思いで、深く共感しあうことができました。

 この深い共感を胸に、人類全体で地球を守ろうとする潮流をさらに押し進め、時に人間同士の「同胞の精神」に立ち帰り、私達は真にすべての人々が幸福に生きられる「人間尊重の社会」を目指して、今この時から、具体的な一歩を踏み出しましょう。

2008年9月20日
第14回障害者問題全国交流会