(新潟)特別アピール 2005年2月18日

新潟全研特別アピール
「労使見解」発表30年にあたって会の内外に訴えます

私たちは、2月17、18日の2日間、未曾有の大地震に見舞われ、復興のさなかにある新潟の地で、第35回中小企業問題全国研究集会を開催しました。1000名を超える全国からの参加者は、全県民一体となり、この災害の克服に努力されている新潟の皆さんの姿に感銘し、改めて心からの激励をお送りするものです。

今回の全研は、同友会運動の貴重な財産である「労使見解=中小企業における労使関係の見解」発表30年の記念すべき年にあたり、分科会、記念講演を通して「真の人間尊重経営の確立」を柱に学びあいを深めました。

「労使見解」は、1960年代の頻発する労使紛争による経営危機を打開するため、中小企業における労使間の諸問題を解決し、企業発展の道を探ろうと、同友会の先輩の皆さんが懸命の努力を重ね、10数年の歳月をかけて1975年1月に発表したものです。「労使見解」は、いつ読んでもみずみずしい感動を与えてくれます。それは、企業発展の原動力は、労使の人間的信頼関係と理念の共有にあることを強く訴えているからです。

「労使見解」は8項目から構成されていますが、その後の運動の発展の中から、私たちは、次の3点を学びとることができます。

第一は、経営者の経営姿勢の確立の重要性です。経営者はどんなことがあっても、経営を維持し発展させる責任があり、その姿勢を貫くことが社員との信頼関係を築く出発点であることです。

第二は、経営指針を成文化し、明確な理念、方針を全社的に確立することが、社員の自発性を高め、強じんな体質の企業づくりになるということです。

第三は、労使は人間として対等・平等であり、現代を誇り高く生き抜く同志的連帯のもとで、共に育ちあい、共に社会の発展に貢献できる関係にあることです。

今日、「グローバルスタンダード」の名のもとに、理念なき利益追求・効率最優先、競争至上主義の風潮があらゆる場面に広がり、人と人とのゆがんだ関係がまん延しています。このような時代だからこそ、「労使見解」の精神を、一企業内にとどめず、家庭や地域社会に広く、深く浸透させることが、健全な社会をめざす、私たちの当然の責務であるとの自覚を新たにするものです。

同友会は、中小企業を、豊かな国づくりの中軸にすえる「中小企業憲章」の制定を国民運動とする努力をしています。この運動の推進力は、中小企業における労使の連帯の力です。私たちは、「労使見解」30周年の歴史的地点に立ち、改めてその精神を深く学び、労使が共に手を携えて、人間尊重の企業、地域、社会の建設という人類史的課題に高い志で挑戦することを誓い本集会の特別アピールといたします。

2005年 2月 18日
第35回中小企業問題全国研究集会