調査・研究

緊急事態宣言下の中で改善示すも勢い弱し、
サービス業は厳しい
DOR136号(2021年1〜3月期景況調査)速報

業況判断・業況水準・売上高・経常利益は前期と同水準にとどまる

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△30→△23、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△19→△19、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△31→△27、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△26→△22と、改善は見られるが勢いは弱く、二桁のマイナス圏に留まる。
 新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)の影響はまだら模様である。日本では“第四波”が話題に上っており、ワクチン接種の遅れは明らかである。だが、中小企業は緊急事態宣言下でも、若干の改善を見せており、中小企業の積極的な対応力は発揮されつつある。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△17→△14、製造業が△42→△30、流通・商業が△29→△24、サービス業が△24→△23と、少しの改善が見られる。地域経済圏別では、北海道・東北が△32→△20、関東が△26→△26、北陸・中部が△33→△26、近畿が△34→△25、中国・四国が△25→△19、九州・沖縄が△27→△24と、すべてマイナス圏での回復。企業規模別では、20人未満で△31→△24、20人以上50人未満で△31→△22、50人以上100人未満で△27→△29、100人以上で△30→△20と、全企業規模でほぼマイナス20前後に戻したが、パッとしない。
 次期(2021年4〜6月期)以降は、業況判断DIが△23→1、業況水準DIが△19→△17、売上高DIが△27→△2、経常利益DIが△22→△2、と予測。ようやく「危機」から抜け出そうである。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△14→△13、製造業が△30→8、流通・商業が△24→0、サービス業が△23→3と、建設業以外では改善が見られる。

地域に必要な事業を考えて、行動することである。でなければ、中小企業は立ち行かなくなる。

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が9→17に、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)は△2→1となり、仕入単価DI−売上・客単価DIの差も11→16で拡大した。金融面では長短の借入金増減DI(「増加」−「減少」割合)が前期を境に切り替わり、今期も借入金を厚くしているが、短期借入金増減は11→11、長期借入金は26→30と大きな変化は見られない。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は△7→△9とやや減少し、臨時・パート・アルバイト数DIは△10→△12とやや減少した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△31→△26と若干増加に戻した。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△17→△20と今期はその勢いを安定させた。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)も△10→△12と不足感を強めた。
 会員からは、「地域に必要な事業を考えて、行動することである。このままだと地域が疲弊し、中小企業は立ち行かなくなる。早く地域社会が豊かになる事業を考えなければならないと思う(大分、建設コンサルタント、土木設計)」など地域論も聞かれた。一部の産業分野が落ち込んだままでは、安定した回復を実現することができないだろう

感染拡大・景気 悪化の可能性が高まる

 日銀短観は「大企業・製造業」が5と前回の2020年12月調査 から15ポイント改善し、3四半期連続で改善し、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準まで回復した。「中小企業 ・製造業」も△13と14ポイント改善した。GDPは2020年10〜12月期の実質成長率が年率換算で11.7%となった 。ただ、20年の成長率はマイナス4.8%で、 リーマンショックの5.7%減った09年以来のマイナス成長となっている。
 新型コロナウイルスの変異株も明らかになり、ワクチン手配の遅れなど、さらなる感染拡大・景気悪化の可能性が高まっている。中小企業の金融情勢悪化を懸念する声も出ている中で、建材・資材も手に入らない現象も新たに現れてきた。どんな経営環境にも対応できる努力がさらに求められる 。

(2021年4月13日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2021年4月30日発行のDOR136号をご覧ください

[調査要領]
調査時:2021年3月1〜15日
対象企業:中小企業家同友会会員
調査の方法:郵送により自計記入を求めた
回答企業数2,291社より910社の回答をえた(回答率39.72%)
(建設170社、製造業282社、流通・商業260社、サービス業188社、その他10社)
平均従業員数 :役員を含む正規従業員38.3人
        臨時・パート・アルバイトの数33.1人

PDF資料はこちら(PDF557KB)

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