調査・研究

景気改善続くもまだら模様 来期の見通しには慎重
DOR137号(2021年4〜6月期景況調査)速報

業況判断・売上高・経常利益は同じ水準に改善−業況水準のみマイナス圏

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は△23→11、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△19→△5、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は△27→12、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△22→11と、業況水準DI以外は11〜12に水準を合わせ、改善した。4〜6月期の緊急事態宣言下でも中小企業は回復傾向を見せており、コロナ禍での中小企業の対応力は発揮されつつある。
 ただし、回復局面での企業規模の格差拡大や業種に差など、回復はまだら模様であり、原材料価格高騰などから来期の見通しは慎重である。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△14→△7、製造業が△30→21、流通・商業が△24→7、サービス業が△23→18と、特に製造業とサービス業に大幅な改善が見られる。地域経済圏別では、北海道・東北が△20→3、関東が△26→18、北陸・中部が△26→24、近畿が△25→11、中国・四国が△19→8、九州・沖縄が△24→△2と、九州・沖縄以外はすべてマイナス圏から脱した。企業規模別では、20人未満で△24→7、20人以上50人未満で△22→7、50人以上100人未満で△29→22、100人以上で△20→30と、50名を境にはっきりと差が出たようである。
 次期(2021年7〜9月期)以降は、業況判断DIが11→5、業況水準DIが△5→△9、売上高DIが12→7、経常利益DIが11→5、と予測。改善の勢いは一旦停止と予測したが、東京都の4度目の緊急事態宣言発令でより厳しい事態も予想される。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△7→△11、製造業が21→17、流通・商業が7→0、サービス業が18→7と、全業種で悪化すると予測している。

経営体質の健全化への道を見据えよう

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が17→35に、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も1→9となり、仕入単価DI−売上・客単価DIの差も16→26で拡大した。特に仕入単価DIは、総合工事業(民需中心)が32→60、金属製品製造業が54→72、機械器具製造業が27→61、運輸業が9→65と、ウッドショックなどによる原材料値上げや原油価格・ガソリン価格の上昇が直撃したものと見られる。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は△9→7、臨時・パート・アルバイト数DIも△12→1とプラス水準に戻した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)も△26→△10と増加基調にある。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△20→△21と横ばいとなった。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)も△12→△12と横ばいである。
 会員からは、「借入金返済の正常化を狙いとした借換えをメインバンクの信金と政府系金融機関で進めていただいています。ようやく経営体質の健全化が見えてきました(神奈川、半導体製造装置に付帯する精密部品の設計・製作)」などコロナ融資返済もそろそろ期限が近づき、資金ショートに気をつかうことが多いが、経営体質の健全化への道がしっかり見えていることが大切である。

景気回復への試練経済浮沈はワクチンが左右

 日銀短観は「大企業・製造業」が14と前回の2021年3月調査から9ポイント改善し、2018年12月以来の2年半ぶりの高水準となった。中小企業は製造業が6ポイント改善の△7、非製造業が2ポイント改善の△9と、依然としてマイナス圏にある。GDPは2021年13月期の改定値が年率換算で39減となり、2020年度の成長率は4.6減で、2年連続でマイナス成長に落ち込みが確定した。
 新型コロナウイルスの変異株やワクチン効果の範囲、東京五輪へ世界中から集客する影響など、さらなる感染拡大の可能性が高まっている。海外ではワクチン接種が進んでいる国の経済が回復しており、日本経済もそのスピードにかかっている。我々は、どんな経営環境にも対応できるよう努力をしよう。

(2021年7月13日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2021年7月30日発行のDOR137号をご覧ください

[調査要領]
調査時:2021年6月1〜15日
対象企業:中小企業家同友会会員
調査の方法:郵送により自計記入を求めた
回答企業数:2,261社より967社の回答をえた(回答率42.8%)
(建設177社、製造業285社、流通・商業281社、サービス業215社)
平均従業員数:役員を含む正規従業員38.3人
       臨時・パート・アルバイトの数27.9人

PDF資料はこちら(PDF481KB)

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