調査・研究

仕入価格高騰、価格転嫁が喫緊の課題、
 ウクライナ危機はビジネスに異変を起す

DOR140号(2022年1〜3月期景況調査)速報

主要指標はすべてマイナス圏へ悪化した

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は8→△7、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は4→△12、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は10→△1、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△1→△11と、前回好転した主要指標はすべてマイナス側へ悪化した。
 同時に実施したアンケートでは、調達価格上昇の「影響がある」と回答した会員は、8割以上に達した。経営の中心課題は、どのように価格転嫁を果たすかにかかっている。そしてロシアのウクライナ侵攻は、エネルギー・穀物価格の高騰のみならず、第2次世界大戦後に形成された国際協調・グローバリゼーションが崩れ始め、貿易体制や通貨体制に大きな影響をもたらすだろう。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が0→△22、製造業が15→△1、流通・商業が0→△9、サービス業が13→1と、すべて悪化した。地域経済圏別では、北海道・東北が△9→△17、関東が18→1、北陸・中部が19→△2、近畿が13→2、中国・四国が△1→△8、九州・沖縄が△1→△17と、すべて悪化。企業規模別では、20人未満で5→△9、20人以上50人未満で6→△7、50人以上100人未満で17→△11、100人以上で17→9と、100人以上以外でマイナス圏へ悪化した。
 次期(2022年4〜6月期)は、業況判断DIが△7→0、業況水準DIが△12→△12、売上高DIが△1→4、経常利益DIが△11→△4、と予測。業況水準の横ばい以外は好転予測。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が△22→△19、製造業が△1→5、流通・商業が△9→△2、サービス業が1→12と、好転と予測している。

ビジネスに変異が…商売は平和であってこそ成り立つもの

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が62→68に、売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も19→24となり、仕入単価DI−売上・客単価DIは43→44とほぼ横ばい。ただ、仕入単価DIは、設備工事業が70→84、金属製品製造業が80→93、機械器具製造業が85→91と、半導体・部材調達難、資源価格や商品価格の高騰が企業業績を圧迫、価格転嫁が喫緊かつ全力で取り組む課題となっている。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は7→4と減少、臨時・パート・アルバイト数DIも2→△3に減少した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)も△1→△4と減少した。ただし、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△36→△34とやや緩んだものの依然高い水準。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△15→△18と不足感はやや強まった。
 会員の声は、「海外との取引が増加していましたが…ウクライナへのロシアの侵攻により、ビジネスに異変が起こりつつあります。今のところ、輸出運賃の高騰が顕著に現れています。…ヨーロッパでの消費マインドの低下も今後大きな問題となってきそうです。商売は平和であってこそ成り立つもの、この教訓を若い社員とともに学び直すことが必要と思っています(大阪、衣服製造)」など。ここは、ニュースなど情報収集に努め、原点にかえって社員とともに学び直すことが求められよう。

ウクライナ危機の影響を読み切れず…景気は困難な状況へ

 GDPは2021年10〜12月期の改定値が年率換算で4.6%増と速報値から下方修正した。日銀短観は大企業・製造業が3ポイント悪化し14となった。悪化は2020年6月調査以来、7四半期ぶり。先行きが9で、さらなる悪化を見込む。中小企業は製造業も3ポイント悪化の△4、非製造業が3ポイント悪化の△6と、さらに悪化した。「業況判断の悪化が小幅にとどまったのは、ロシアのウクライナ侵攻の影響を現時点では読み切れなかった可能性がある。今後の情勢次第では、…資源価格の上昇を通じて景況感をさらに下押しするだろう」(2022年4月1日、日経新聞、大和証券・末広徹シニアエコノミスト)。
 DORの指標でも、仕入単価DIが68まで上がり、原材料価格の上昇が企業業績を圧迫する。ウクライナ危機が資源価格によるインフレの長期化の懸念をもたらし、世界経済の先行きを不安が覆う。われわれは、どのような経営環境にも対応できるようにしていこう。

(2022年4月12日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2022年4月28日発行のDOR140号をご覧下さい

[調査要領]
調査時:2022年3月1〜15日
対象企業:中小企業家同友会会員
調査の方法:郵送により自計記入を求めた
回答企業数:2,203社より871社の回答をえた(回答率39.54%)
(建設155社、製造業276社、流通・商業252社、サービス業179社)
平均従業員数:役員を含む正規従業員36.93人
       臨時・パート・アルバイトの数36.36人

PDF資料はこちら(PDF754KB)

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