調査・研究

中小景気小幅悪化、
 今後の世界経済情勢悪化への留意を

DOR142号(2022年7〜9月期景況調査)速報

主要指標は小幅悪化

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は6→4、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△3→△7、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は10→9、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△1→△6と、前回浮上した主要指標は悪化したものの、小幅にとどまった。
 経営の中心課題は、物価上昇下での持続的、継続的な価格転嫁にかかっている。全力で取り組もう。厳しい経営の中での新型コロナとの戦い疲れが、知らず知らずのうちに“守り”の経営に入っていなかったか、などの再検討が必要。また、短期資金の借入金利も久しぶりにマイナス圏から抜けた。いよいよ迫ってくるコロナ返済の重圧への対応も重視すべき。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△12→1、製造業が8→2、流通・商業が1→0、サービス業が23→16と、建設業以外で悪化した。地域経済圏別では、北海道・東北が△6→△8、関東が7→13、北陸・中部が9→△1、近畿が15→3、中国・四国が6→12、九州・沖縄が5→5と、まだら模様である。企業規模別では、20人未満で4→7、20人以上50人未満で6→△1、50人以上100人未満で9→△3、100人以上で9→9と、20人未満で好転した。 次期(2022年10〜12月期)は、業況判断DIが4→1、業況水準DIが△7→△2、売上高DIが9→11、経常利益DIが△6→△3、と予測。業況判断DI以外はすべて好転を予想。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が1→△3、製造業が2→6、流通・商業が0→△8、サービス業が16→11と、製造業以外は悪化を予測。

当社の存在価値を認めてもらえるための徹底したサービスを

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が81→82と横ばい、高止まり。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も39→44となり、仕入単価DI−売上・客単価DIは42→38と縮まった。仕入単価DIは、設備工事業が85→94、運輸業が83→96と高騰し、内需型産業にも及んでいる。資源価格などの高騰が企業業績の圧迫に加えて、採算面での課題となっている。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は11→4と減少し、臨時・パート・アルバイト数DIも4→0と減少した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△5→△5と横ばい。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△33→△39と高い水準に留まる。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△13→△16とやや不足感は強まった。
 会員の記述からは価格転嫁の次の手に力を入れる記述が光る。「価格転嫁を100%しても、購入していただける当社の存在価値を認めてもらえるための徹底したサービス(情報、デリバリー、改善提案等)をおこなえる仕組みづくり。そのための社員教育(外部マネジメントスクール、社内勉強会)を実施しています(大阪、機械工具の販売)」。「価格転嫁だけでなく販売先の売上増のさまざまな提案づくりを既にし始めている(富山、理・美容室経営に必要な商材の販売)」。

米独英中の世界同時の景気後退入りか

 GDPは2022年4〜6月期の改定値が年率換算で3.5%増と速報値(2.2%)から上方修正した。ただ、米国やドイツ、英国、中国は同時期マイナス成長となった。主要国が景気後退した場合、輸出など日本への波及も避けられない。1970年以降をみると日本もほぼ例外なく景気後退となっている。
 日銀短観は大企業製造業が1ポイント悪化し8となり、3四半期連続で悪化した。円安などによる原材料高が収益を圧迫した。消費者物価の見通しも過去最高の水準に達し、家計が消費を控えて景気が悪化する懸念が出ている。
 国際商品相場の下落が象徴的であるように、インフレがデフレに転化してきている。世界経済は、インフレ対策とともに景気対策が必要という厳しい局面に入りつつある。

(2022年10月12日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2022年10月31日発行のDOR142号をご覧下さい

[調査要領]
調査時:2022年9月1〜15日
対象企業:中小企業家同友会会員
調査の方法:郵送により自計記入を求めた
回答企業数:2,168社より824社の回答をえた(回答率38.00%)
(建設151社、製造業247社、流通・商業258社、サービス業161社)
平均従業員数:役員を含む正規従業員39.34人
       臨時・パート・アルバイトの数35.29人

PDF資料はこちら(PDF495KB)

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