調査・研究

指標好転も23年は世界的不況の兆し、
 中小企業は高付加価値化に挑戦しよう

DOR144号(2022年10〜12月期景況調査)速報

主要指標はすべて好転

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は4→8、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は△7→8、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は9→15、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は△6→△2と、主要指標はすべて好転した。
 設備投資実施割合では製造業が前期比12.1ポイントの大幅な上昇をみせた(36.4%→48.5%)。この水準は、バブル崩壊直前(1991年10〜12月期、48.9%)に近い。コロナ禍からの回復下での経営努力の成果はその他の指標でも散見できるが、世界経済の変調が予見される2023年は全社員が参加して付加価値を高める努力が求められる。新年から始まるコロナ融資返済の重圧への対応も重視すべきである。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が1→△2、製造業が2→12、流通・商業が0→9、サービス業が16→10と、製造業と流通・商業がけん引した。地域経済圏別では、北海道・東北が△8→△1、関東が13→12、北陸・中部が△1→7、近畿が3→17、中国・四国が12→7、九州・沖縄が5→8と、中国・四国以外が好調。企業規模別では、20人未満で7→8、20人以上50人未満で△1→2、50人以上100人未満で△3→17、100人以上で9→7と、50人以上100人未満が好転を印象づけた。 次期(2023年1〜3月期)は、業況判断DIが8→1、業況水準DIが8→△2、売上高DIが15→11、経常利益DIが△2→△1、と予測。主要指標は再び悪化を予測。業種別の次期業況判断DIでは、建設業が△2→△6、製造業が12→△2、流通・商業が9→0、サービス業が10→14と、サービス業以外は悪化を予測。

今こそ社員とともに経営理念(指針)にもとづいた経営を

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が82→84とさらに上昇。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も44→48となり、仕入単価DI−売上・客単価DIは38→36とほぼ横ばい。仕入単価DIは、金属製品製造業が90→94、機械器具製造業が85→92、と高騰し、とどまるところを知らない状態となっている。資源価格などの高騰が企業業績の圧迫に加えて、採算面での課題となっている。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は4→7と増加し、臨時・パート・アルバイト数DIも0→4と増加した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△5→2と増加。人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△39→△41と高い水準になった。設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△16→△16と横ばい。
 会員の記述からは理念の浸透に力を入れる内容が光る。「12月に合宿研修を予定しています。会社の目標達成のための方針の確認と、各自の個人目標の確立と点検。理念のブラッシュアップを計画しています。理念は社員も参加して作成したので浸透は100%できている。90年代に理念の浸透に悩んでいたことがウソの様です。事業継承のキッカケの合宿としたい(東京、ソフトウェア業)」。

異次元緩和の転換に注視を

 GDPは2022年7〜9月期の改定値が年率換算で0.8%減と速報値(1.2%減)から上方修正したものの、4四半期ぶりのマイナス成長となった。国際通貨基金(IMF)の専務理事は「世界経済の3分の1が来年までに(景気後退を示す)2四半期連続のマイナス成長に陥る」と警鐘を鳴らした。2023年の資源価格高騰、世界不況は日本経済のダイレクトに襲う可能性がある。
 日銀短観は大企業製造業が1ポイント悪化し7となり、4四半期連続で悪化した。円安や資源高を背景とした原材料コストの増加が景況感を下押しした。消費者物価の見通しも高水準に達し、家計が消費を控えて景気が悪化する懸念が出ている。
 12月20日、日銀は10年物日本国債の上限金利を0.25%から0.5%に引き上げることを決定。アベノミクスの象徴だった異次元緩和は10年目で転換点に立った。今後の動向を注視する必要がある。

(2023年1月5日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2023年1月31日発行のDOR144号をご覧下さい

[調査要領]
調査時:2022年12月1〜15日
対象企業:中小企業家同友会会員
調査の方法:郵送により自計記入を求めた
回答企業数:2,163社より815社の回答をえた(回答率37.68%)
(建設145社、製造業243社、流通・商業246社、サービス業173社)
平均従業員数:役員を含む正規従業員40.87人
       臨時・パート・アルバイトの数35.27人

PDF資料はこちら(PDF527KB)

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