社員と共に地域に貢献できる企業を増やしたい かずさ支部(千葉) かずさ支部長 平野 勝己氏((有)南総松華園社長)

―まず地域の特徴を。

平野 千葉県の南部、袖ケ浦、木更津、君津、富津の4市を中心とした支部で、千葉同友会の中では最も南に位置しています。

 東京湾沿いには新日鉄、東京電力の火力発電所、石油コンビナートなどが連なる一方、漁業・農業も盛んです。漁業は浅草海苔の伝統を継いだ海苔の生産、アサリは潮干狩りとして観光化しています。東京に近い割には自然に恵まれた地域と言えます。

 木更津と川崎を結ぶ道路、アクアラインをめぐっては、人口流入、土地値上がりなどの読み違いがあり、開通後地域は以前より疲弊が進んでいます。

―同友会で学んだことは。

平野 かずさ支部ができた翌年、1997年に友人に勧められるまま入会しました。ちょうど自社の停滞の打開策を模索していたので、翌98年には経営指針セミナーに参加しました。

 セミナーは、自分の経営のやり方を見直す機会となりましたが、経営理念は十分に練り上げることはできず、さらに1年以上かけてつくりました。

 しかし、当時は経営指針を社内で発表しても、社員の反応はほとんどありませんでした。根底に“会社はおれのもの”という意識が私の中にあったからです。ようやく最近は、社員と共に会社の方向をどうするかという話ができるようになりましたね。

(「平野さんの会社へ行くと、絶えず社員にさまざまな問題を投げかけていて、対話の多い会社とわかります」(インタビューを横で聞いていた上西前支部長の話)

―支部活動の特徴を。

平野 会員の経営体験報告による例会が中心ですが、当支部には、経営指針、会員交流、地域おこし、組織増強という4つの委員会があります。

 昨年度は例会以外に、経営指針委員会が企画して、経営理念の勉強会を3回行いました。こうしたことをベースに、千葉同友会の経営指針セミナーに参加するよう勧めており、これまで16名の支部会員が県のセミナーに参加しました。

 会員交流委員会は、昨年千葉で全国総会が行われた折に、オプション旅行の途中に“スダテ遊び”を取り入れ、全国からの参加者に喜ばれました。

 支部創立以来、役員会で「中小企業家しんぶん」などに基づいた学習をしていることも特徴です。

 この点では、事務局員の役割が大きく、毎回適切な学習資料を提供してくれます。担当事務局の熱心さと支部を愛する気持ちが伝わってきます。

―今後の抱負を。

平野 今年初めて市原支部と合同で、千葉県商工労働部との懇談を行い、行政側から「企業の現状や経営課題について教えてほしい」という申し出もあり、内容の濃い意見交換ができました。それだけに、社員と共に地域づくりに貢献していけるような企業を増やしていかなければと思います。

 “会社はおれのもの”という経営者はまだまだ多いので、同友会の学びの輪を地域に広げていきたいですね。

▼かずさ支部の概要
設立 1996年
会員数 68名
役員数 22名
対象地域 袖ケ浦市、木更津市、君津市、富津市(人口32万6000人、企業数3600社)

「中小企業家しんぶん」 2006年 5月 15日号より