地域担う気概あふれる経営研究集会

 10月、11月は全国各地で経営研究集会が一斉に開かれています。中小企業経営者が自ら学びを深め、強靱(きょうじん)な企業になっていくとともに、大学や行政などと連携し、地域を元気にしようと、個性豊かに中小企業の気概をアピールした東京、兵庫、北海道を紹介します。

【東京】「ある企業家の最後の選択」~中小企業家劇まじえ10年後の東京と経営を考える会
【兵庫】「中小企業家の環境宣言」を発表~「顧客価値創造」テーマに全兵庫経営研究集会
【北海道】百聞は一見に如かず フィールドワーク型分科会~ものづくりの町・苫小牧で全道経営者“共育”研究集会


【東京】「ある企業家の最後の選択」~中小企業家劇まじえ10年後の東京と経営を考える会

 東京同友会では10月28日、第16回東京経営研究集会を立正大学(東京・五反田)で開催し、1005名が参加者しました。一昨年の立教大学に続いて、今回は立正大学との共催で行われました。

 立正大学との間には、13年に及ぶ産学交流の歴史があります。14年前、立正大学の先生が、東京同友会大田支部の研究会に参加したことをきっかけに、会員経営者が立正大学経営学部の学生たちに経営体験を語る講座が始まりました。今では、毎年300名以上の学生が受講する講座へと成長しています。

 今回、大学と共催するにあたり、学生たちの未来を見据え、研究集会の通称を「10年後の東京と経営を考える会」と定め、10年後の将来のために、私たちはどう行動すべきかを考えることをモチーフとしました。

 経営研究集会の目玉は、中小企業家劇「東京 ある企業家の最後の選択」。人材派遣会社の社長を主人公に、大学の同窓生たちと繰り広げられるドラマです。

 昨年の11月に発案、今年早々からディスカッションを始め、4月にオーディション。脚本・演出およびスタッフは、会員でもある劇団銅鑼が担当。役者は会員のほか、立正大学の教授や行政の職員も務めました。休みを返上して練習を積み、当日取材にきたマスコミは「本格的で驚いた」との声を上げていました。

 演劇の後は、17の分科会が行われ、産学交流の成果を踏まえた共同研究では、大学の研究者・学生と経営者が意見交換。また、東京ならではのメリットを生かした大使館の方々と交流を深める分科会や、印刷など業種別で未来を考える分科会などがありました。

 最後に、展示会も行われ、ビジネス交流をしながら、アジア各国の料理が楽しめる懇親会が行われました。


【兵庫】「中小企業家の環境宣言」を発表~「顧客価値創造」テーマに全兵庫経営研究集会

 「原点を見直し、21世紀を豊かにする企業に!!~顧客満足から顧客価値創造へ」をテーマに「第20回全兵庫経営研究集会」が10月24日、神戸ポートピアホテルで開催されました。参加者約700名(内ゲスト経営者約120名)が、記念講演と8つの分科会で学びあいました。

 第1部では、記念講演に先立ち、「中小企業家の環境宣言」を発表し、満場一致で採択しました。

 兵庫同友会では、「ビジョン2010」において、環境保全の問題を取り組むべき重要な課題として掲げて活動を進めてきました。この環境宣言は、主要8カ国環境大臣会合(G8環境サミット)が来年5月に神戸で開催されることもあって、中小企業の使命に「地球環境保全の実現」を明示。1300社が加盟する兵庫同友会の規模を生かし、各企業が地球温暖化防止にできることから取り組んでいくという「基本理念」と、「全ての事業活動において環境に配慮し、環境汚染を予防し、環境改善を進める経営を行います」など4つの「行動指針」を宣言しています。

 記念講演では、ネッツトヨタ南国(株)会長の横田英毅氏が、「人が輝く経営」と題して講演し、「人間性尊重の経営」から、これからの中小企業のあるべき姿を肌で感じました。第2部では、8つの分科会に分かれ、さまざまな経営課題で学びあいました。参加者は本音で自社の経営課題をぶつけ合い、熱気あふれる学びの多い分科会となりました。

 最後に第3部懇親パーティーでは、学んだことを明日から実践するべく、全員で交流し、決意を新たにしました。


【北海道】百聞は一見に如かず フィールドワーク型分科会~ものづくりの町・苫小牧で全道経営者“共育”研究集会

 北海道同友会は10月19~20日、苫小牧で、「第26回全道経営者“共育”研究集会インとまこまい」を開催しました。全道から会員、行政関係者、来賓など419名が参加し、これからの企業づくり、地域づくり、人育ての展望を語り、学び合う場となりました。

 「ものづくりの町で新たな『動』研物語が生まれる!~やる気!! 本気!! が全国制覇!!」をメインテーマに掲げた研究集会では、全12分科会の半分にあたる6分科会を移動分科会として、地元・苫小牧のほか、隣町の白老にまで足を運び、店舗や工場、牧場見学を行いました。

 ホテルを飛び出し、経営者による報告だけでなく、社員の雰囲気や工場の様子などから感じとれるすべてから学ぼうという、「フィールドワーク型分科会」のスタイルを作り上げました。

 7月にリニューアルしたばかりの焼き肉の金剛園本店や汚泥リサイクル施設のエコワークス苫小牧、四季舎、白老のウエムラ牧場など、苫小牧支部会員の店舗や工場を見学し、会議室では、それぞれの経営実践の報告が行われました。

 また、北海道における自動車関連産業の集積地・苫小牧らしく、その中核となるトヨタ自動車北海道の工場見学も行われ、QCサークル活動を通じた地元企業の実践を学びました。

 さらに、第5分科会では、室蘭開発建設部苫小牧港湾事務所の協力で、北海道最大の物流拠点・苫小牧港を、港湾事務所所有の監督船に乗ってぐるりと周って見学をすることができました。

 2日目には、駒澤大学付属苫小牧高校の野球部前監督・香田誉士史氏の記念講演が行われました。

「中小企業家しんぶん」 2007年 11月 15日号から