今こそ同友会の出番!発信力の強化を 3本部連携で2008全国広報・情報化交流会

 9月25~26日、「地域力を再生・創造する同友会へ~伝え広げ励ます同友会の広報・情報化を考える」をテーマに、「2008全国広報・情報化交流会」が、京都・平安会館で開催され、22同友会と中同協から107名が参加しました。今回は広報委員会、情報化推進本部だけでなく、分科会を5万名推進本部と中小企業憲章制定推進本部、企業変革支援プログラム検討プロジェクトの企画協力で行われ、同友会運動全体にかかわる総合的な内容となりました。本紙では4つの分科会の内容を紹介します。

第1分科会 「なぜ会員増強か」を発信・共有~会としての総合実践を

テーマ 最高会勢に到達! 新たな時代を担う同友会へ~全国の会員増強の教訓から広報・情報化の果たすべき課題を考える
企画協力 中同協2010年5万名推進本部
座長 中村高明・中同協情報化推進本部長
事例報告
 広浜泰久・中同協2010年5万名推進本部長
 加藤昌之・愛知同友会広報部長

 はじめに、広浜泰久・中同協2010年5万名推進本部長が「学べる組織、減らない組織、増える組織のための広報・情報化」と題して報告。広浜氏は「組織活動のために広報・情報化の取り組みが何をできるかを一緒に考えてみたい」と切り出し、自身が作成した運動課題ごとのチェックリストに沿って、各同友会の機関紙やホームページ、e.doyuの活用事例を紹介しました。

 続いて登壇した加藤昌之・愛知同友会広報部長は、広報部・報道部・情報部でつくる「情報関連協議会」が、会内広報を担当する「広報部」、対外広報を担当する「報道部」、組織活動支援システム「あいどる」を担当する「情報部」を束ね、総合的に増強活動を支援して3000名に達成するなど成果を挙げていることを報告しました。

 またグループ討論の中から出された「組織と情報を整備するだけで組織拡大がはかれるか」との質問に対して加藤氏は、「何のために増強するのかという明確なビジョンを定め、一人ひとりの会員に理解してもらうこと。そのために広報がどういう役割を果たすのか考えることが大切」と強調しました。

 2日目の最後で、座長を務めた中村高明・中同協情報化推進本部長は、増強について役員と会員の中での認識に開きがある現状をふまえ、「同友会理念と会員増強の意義、会の運動方針をよく理解してもらうことが大切。具体的には中同協発行の『会員増強の手引き』が多くの会員の手元に届いていない現状を早急に変える必要がある。同時に、例会での充実した学びをつくり、広報しながら、恒常的に増え、減らない組織づくりを進めていこう」とまとめました。

第2分科会 「中小企業を第一に考える」~憲章運動広げる広報の重要性

テーマ 中小企業は地域経済立て直しの主役~中小企業憲章実現へ向けての広報・情報化の重要性を考える
企画協力 中同協中小企業憲章制定運動推進本部
座長 井上誠二・中同協中小企業憲章制定運動推進本部委員
事例報告
 山田雅之・大阪同友会中小企業憲章推進本部委員
 穴井憲義・熊本同友会副代表理事

 まず最初に報告に立った山田雅之氏は、大阪で製缶板金業を営む経営者です。全国行事の憲章分科会に参加したが、最初のうちは「何のことか分からなかった」。青年部を卒業し、広報部に移ってからは、「世の中を変えていかねば」の思いが高まってきたことなどを紹介。大阪同友会では「憲章レポート」作成運動を実施し、昨年までに525名がレポートを作成しました。今年は、新レポートに改め、すでに300名を集約、並行して広報委員会では各業界ごとに取材し、レポートの中身を深め機関紙に紹介しています。山田氏は「小さなうねりを大きなうねりにしよう」と強調しました。

 次に報告に立った穴井憲義氏は、熊本で電気工事業を営んでいます。

 03年福岡総会で憲章を学び、熊本同友会では4名で学習会をスタート。「知って、伝えて、広げて、励ます」が役員の役割とし、推進本部では指針書を作成、各委員会、部会との連携を呼びかけています。穴井氏は「憲章は私の人生に大きな影響を及ぼした。みんなにやる気をおこさせるシステムをどう作るかが課題」と語りました。

 グループ討論では、各地の活動状況を出し合い交流。「憲章の学習は深い。自社の経営課題の改善方向につなぎ、食わず嫌いをなくすこと」「条例制定で自治体と懇談すると、必ず会員の数を聞かれる。支部づくりとの連動が大事だ」「憲章を自分の言葉で語るのが説得力のある広報活動」等の議論が盛り上がりました。

 座長の井上氏は、改正建築基準法による中小建設業の混乱にふれ、「現場を知らない官僚の政策づくりが問題」と批判、中小企業を第一に考える憲章の重要性を再確認。憲章運動を広げるために広報の役割は大きく、スキルを高めることも研究課題と結びました。

第3分科会 企業の総合的実践を会の強みに~企業変革支援プログラムの活用・発信を

テーマ 企業づくりの実践と教訓の集大成「企業変革支援プログラム」~同友会がめざす企業づくりの活動を促進し、会として企業としての情報共有・発信を考える
企画協力 中同協経営労働委員会企業変革支援プログラム検討プロジェクト
座長 大野栄一・中同協経営労働委員長
報告者 宮崎由至・企業変革支援プログラム検討プロジェクトリーダー

 冒頭、大野座長から分科会の趣旨説明があり、「同友会が大切にしてきた企業づくりの教訓や活動を、いかに情報発信・共有していくかを本分科会で深めたい。企業の総合的実践を支援する、中同協で作成中の『企業変革支援プログラム』の活用を考えながら検討を」と呼びかけました。

 報告に立った宮崎氏は、「規制緩和や金融問題で厳しい経営環境の中、打って出ようにも自分の会社の強みを言えない経営者が多い。それを理解するための1つのきっかけが、この『企業変革支援プログラム』。価格決定権を持つためにはブランド化。商品力は社員の貢献力。地域貢献力というブランド化もある。IT(情報技術)化は究極の情報共有。社長が今どこにいるかが社員にも分かる。ホームページを更新しない会社は、やる気がないことを全世界に発信しているのと同じ。IT化は社長が腹をくくらないとできない。情報を共有して初めて社員とも本格的に経営問題を議論できる。社員とともに自社の立ち位置を明確にし、会内でよい企業づくりを進めるためにも、本プログラムの活用が望まれる」と話しました。

 グループ討論では、「企業として、会としてこのプログラムをどのように発信していくのか」をテーマに意見交換。「社員にも本プログラムを示し、社長との共通のものさしにすることで、強じんな企業づくりをしていく」「自社の強み弱みを知ることで現状認識を深める」など、体系的に自社をつかみ、総合的実践を強めることの大切さを実感するものとなりました。

 まとめで大野氏は「会として本プログラムを会内に発信し普及することで、経営指針づくりを促進し、例会などの論議を深めることができる。同友会の3つの目的や労使見解などを集大成してつくられたプログラムの回答データの集積は、ほかにはない中小企業の定性分析となる。他の経営者団体と完全に差別化できるため増強のツールにもなる」とし、参加者は認識を高めました。

第4分科会 メディア間の情報の連携・発信を~ホームページは即時性、きかんしは感動を

テーマ ホームページ、きかんしの活用を~それぞれの媒体での様々な工夫と経験を交流する
座長 畠山重弘・中同協前広報委員長
事例報告
 (1)紙媒体の強みを生かす~会活動や経営を励ます企画 田中敏博・京都同友会広報副委員長
 (2)対外広報の要~ホームページ更新体制の確立と活用 貞池龍彦・福岡同友会広報情報化室長

 まず、京都同友会広報副委員長の田中敏博氏が「紙媒体の強みを生かす~会活動や経営を励ます企画」をテーマに報告しました。「同友京都」200号のあゆみ、地域性を重視した巻頭特集や、行政との連携をはかる活動を紹介。現在は編集理念にもとづき、全員参加型の編集体制へ改善をはかっています。さらに「読まれる誌面づくりとは」「対内広報として活用されているか」「対外広報として活用をどうひろげるか」の3点が問題提起されました。

 次に、福岡同友会広報情報化室長の貞池龍彦氏より「対外広報の要~ホームページ更新体制の確立と活用」の報告がありました。貞池氏は福岡同友会のホームページのあゆみ、現在のホームページの特徴と狙いにふれ、「会員外へのわかりやすい紹介」などとともに、e.doyuなど各種メディアとの融合・連携をはかることを重視していると報告しました。

 また、同友会広報の本質的課題と新たな問題として、「手段が変わっても変わらない広報の役割」「広報委員に求められる姿勢」「新たな問題」の3点が提起されました。

 グループ討論では、広報活動にたずさわっている参加者により、成果や失敗の教訓など、なまなましい討論が展開されました。

 ブログのチェック体制に関連して失敗事例が報告され「うちの同友会でも起こり得る」と、改めて中同協の「広報活動における情報の利用に関するガイドライン」*の再認識がもとめられました。

 最後に、分科会は「広報の役割」を掘り下げた論議に進展。

 座長の畠山氏は「更新されないホームページは会の評価を下げるため、即時性と情報量を生かした対外広報の武器として使うこと。きかんしについては、繰り返し読むに値する感動あるものにし、手元に届くという積極的な媒体として、きかんしの質的向上をはかろう」とまとめ、参加者の確信を深める内容となりました。

「広報活動における情報の利用に関するガイドライン」は、個人情報保護のために、中同協が各同友会が行っている行事や会員の経営体験報告の内容などの、きかんしやホームページなどへの掲載について、考え方をまとめたものです。対象は同友会活動において生成される文書、画像、映像、音声などの記録。今年8月27日に開かれた中同協第1回常任幹事会の承認事項。お問い合わせはご所属の同友会事務局へ。

「中小企業家しんぶん」 2008年 11月 5日号より