66%が業績悪化を予測~株安・円高・原材料高騰で緊急アンケート【愛知】

 アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不安により、世界的に起きている株安・円高や原材料高騰などが中小企業にどのような影響を与えているかを探ろうと、愛知同友会では10月20~22日、会員企業を対象に緊急アンケートを実施しました。(回答企業数624社)

 現在の業績では、「やや悪い」「悪い」が計56・7%あり、さらに「今後の見通し」では、「やや悪い」「悪い」が計66・1%と、3分の2の企業が業績の悪化を予測しています。(図1)

 「株安」では、「影響あり」「影響が出てきそう」が計46・3%、「円高」では、同40・9%ありました。(図2、図3)

 これまで中部地域の景気を牽引してきたトヨタなど自動車関連企業でとくに影響が大きく、「トヨタの減産で注文数が減少」「大手部品メーカーの設備計画が大幅に延長・中止になっており、仕事量が2~3割減少の見込み」「わが社では受注量が3割減」「複数の客先(大手企業)から3割、5割といった考えられない値下げ要求が当たり前のように来るようになり、断っていたら大半の仕事がなくなるのではと考えている。来年にかけては仕事が半減することも視野に入れている」、さらに個人消費の落ち込みの影響など、厳しい現状が語られています。

 また、原油や原材料高騰の影響では、「影響あり」が53・4%で、「今後、影響が出そう」とあわせると、75・6%もの企業が影響を受けています(図4)。記述回答では、「原材料、運送費の高騰。価格転嫁が難しい」「利益、人件費の削減を余儀なくされている」などの悲鳴とともに、「つまり価格の決定権がわれわれにないということが一番いけない」との声もあります。

 さらに、金融機関から「貸し渋り」が「ある」「懸念される」企業は計16・8%でしたが、責任共有制度導入(保証協会が8割、銀行が2割)の影響もあり、審査が厳しくなっている状況がうかがえます。

 最後に、国や自治体への要望では、緊急の経済対策とともに、「目先の変動や外国にならえではなく、 自国の企業(中小企業がほとんどのはず)の経営が本当にどんな影響を国民に与えるかを考えて、仕組みを根底から考えるべき」など、長期的な視点に立った記述も多くありました。

 愛知同友会では、「今こそ、日本経済の主人公としての中小企業重視の政策が求められる」としています。

「中小企業家しんぶん」 2008年 11月 15日号より