「内定取り消し」で談話~今こそ中小企業の真価が問われる

中同協共同求人委員会 委員長 前田幸一

 2009年3月卒業生を対象とした同友会の共同求人活動は終盤を迎えています。例年この時期は1年間の活動をふりかえる時期ですが、その中で今問われているのは、「内定取り消し」問題によって浮き彫りにされた企業の社会的責任についてです。

 世界的規模の金融不安が日本企業にも暗雲をもたらし、この数カ月間で企業は急激に採用意欲を削がれ、俗に言われる「売り手市場から買い手市場」へと変化してきました。

 「内定取り消し」については、厚生労働省の新規学卒者の採用に関する指針でも示されていますが、採用内定の時点で労働契約が成立したと見られる場合は「解雇」と同様とされ、合理的理由がなければ取り消しは無効となります。

 いずれにしてもこの「内定取り消し」は、学生の人生を大きく狂わせるものです。会員の皆様には引き続き、内定者の不安を取り除く丁寧な対応、自社の経営基盤確立と地域の雇用確保のための努力をお願いするところです。

 近年、共同求人活動の真摯(しんし)な取り組みに対して、学校からの期待が日増しに大きくなっており、我々に課せられた社会的責任はますます重さを増しております。

 私たちは、先般の「人を生かす経営全国交流会」において、明確な経営指針を持ち、新たな仕事づくりに挑戦すること、労使が共に育ちあい、社会的使命感を持って働くことのできる場を提供するなどを趣旨としたアピールを採択いたしました。(3面掲載)

 厳しい経営環境ではありますが、同友会の掲げる理念、3つの目的(よい会社をつくろう、よい経営者になろう、良い経営環境をつくろう)のもと、採用には最大限の努力をお願い申し上げます。

「中小企業家しんぶん」 2008年 12月 15日号より