福岡・宮城が金融緊急アンケート

資金融資だけでなく、内需拡大、雇用拡大できる~自立できる企業へ 抜本的政策を

 世界同時不況が中小企業を直撃しています。政府は「緊急保証制度」を昨年10月から始め、11月には「予約保証制度」を創設しました。この制度をどれだけ会員企業が利用しているかなどの実態を把握し、緊急要望・提言につなげようと、福岡と宮城の同友会が、昨年から今年にかけて緊急アンケートを実施しました。

【福岡】

 福岡同友会は昨年11月末から12月始めに実施し、305社が回答。緊急保証制度について「知っている」が74%ありましたが、実際に「申し込みをした」のは21%で、「申し込まない」との回答は53%ありました。一方、「3期以上連続赤字決算のため」、申し込んだが承認されなかった企業もありました。

 「金融危機に対する緊急要望」をまとめ、請願署名に取り組む宮城同友会では、12月下旬から1月始めに実施し、147社が回答。緊急保証制度の認知度では、「良く理解している」「概略だが知っている」あわせて86・4%ありました。

 制度の活用状況では、「申し込む予定はない」との回答が7割弱を占める一方、「申し込んだが融資を断られた」との回答も7社。「これ以上の融資は無理」と考え、申し込まなかった企業や、「今回の緊急融資は決して別枠ではなく、追加融資は難しい」とか「セーフティネット融資を受けているから」と追加融資を断られたケースもありました。

【宮城】

 宮城同友会では、「金融機関が本来の目的に即していない対応が現実にあり、県内における融資実績が低迷している1つの要因にもなっていることがうかがわれる」としています。

 緊急保証制度への意見では、福岡、宮城ともに、「(申込から融資まで)時間がかかりすぎて緊急の意味がなかった」「メインによる貸しはがし、貸し渋りもあるため、政府による徹底した指導をのぞむ」など、融資の実態が綴られています。

 さらに、「償還が始まったとき、資金的に詰まってくる企業が出てくるのではないか。根本を変えないと問題の先送りのような気がする」「単に融資をするだけでなく、経営革新などの支援策とあわせて総合支援していくべき」「資金の融資も必要だが、抜本的な内需拡大、雇用拡大など自立できる企業になるための支援策をのぞむ」「志や将来性、地域貢献度や評判も加味して(融資して)ほしい」など、抜本的政策を望む声が強く出されていました。

 宮城同友会が現在請願署名活動に取り組んでいる「金融危機に対する緊急要望」では、次の3つを提案しています。(1)中小企業特命担当大臣の設置、(2)金融検査マニュアルを抜本的に改正し、不良債権の定義(「金利の支払いを6カ月滞納」のみに変更)と債務者区分を見直す(正常先と破綻先の2種類に分類する)、(3)事業改善計画を策定されていなくても、改善の見込みがある場合、元金の返済を一時猶予する。

「中小企業家しんぶん」 2009年 2月 5日号より