夢に挑戦し、実現へ~仕事で地域を元気に 各同友会で合同入社式・新入社員研修会開く

 「地域に人を残し、地域を担う人を育てよう」と、各同友会では厳しい経営環境の中でも共同求人活動を通して新卒を採用し、経営者自身が新入社員教育にかかわっています。今春入社した社員を対象に開かれた合同入社式、新入社員研修では、新入社員とともに経営者が決意を固める機会ともなっています。北海道、埼玉、愛知、富山から寄せられた、新入社員の決意や経営者の期待の声などを紹介します。

埼玉同友会 代表理事/(株)アライ 代表取締役 新井 俊雄氏

 桜が満開に近づいた4月1日、埼玉同友会では、新都心ビジネス交流プラザに22社から62名の新入社員を迎えて、合同入社式が行われました。

 埼玉同友会代表理事の新井俊雄氏((株)アライ代表取締役)による記念講演では、熱心に聞き入る新入社員の姿がありました。

 以下、記念講演の要旨を紹介します。

覚悟とチャレンジ精神

 皆さんがご存知のように、日本はかつてない不況の中にあります。

 このような時に社会人となる皆さんは、よくよくの覚悟をお持ちだと思います。けれども、迎え入れる社長さんの側も、相当の覚悟を持っているのです。

 先行き不透明な時代でも、「この人なら」という気持ちで採用を決めたはずです。その思いを受け止めてみんなで連携し、同友会の精神である「共に育つ」を実践していきましょう。

 最初は不安だと思いますが、何ごともやってみなくては始まりません。チャレンジ精神を持ちつつ、将来自分はどうなりたいのか、というビジョンを持って仕事に向かって欲しいのです。

 国内の全事業所の99%以上は中小企業です。皆さんは地域を支え、ひいては日本を支えているのだという気概と誇りを持って仕事に向かって欲しいと思います。

一人ひとりがスペシャリストに

 中小企業というと、大企業の下請けのようなイメージを持つ人がいますが、これからはそれではダメなのです。

 受け身の仕事ではなく、提案をしていける企業を目指すべき時代です。

 中小企業の特徴の1つに社員がスペシャリストになれるという点があります。大企業の中ではできないような仕事に特化して、自分の強みを持つことができるのです。

 中小企業はそれぞれ独自の魅力を持っていますが、これから企業が生き残っていくためには、何かに卓越したものを持つことが必要です。

 ぜひ、みなさん一人ひとりがスペシャリストとなり、10年、20年先の会社を自分がつくっていくのだ、という気構えをもってください。

学問のように仕事に問いかけを

 明治から昭和にかけて活躍し「製紙王」といわれた実業家に「藤原銀次郎」という人がいます。

 彼が残した「愉快に働く10カ条」の中に、「仕事を自分の学問にせよ」というくだりがあります。仕事はまず学ぶことから始まります。

 時には「なんでこの仕事を私がするのだ」と疑問に思うこともあるかもしれません。でも自分がその仕事をする意味を考えたときに、外見的にはつまらなく思えるような仕事でも、全体的に持つ意義は大きいのだと気づくことができます。自分の仕事に使命感をもって、学問のように問いかけを繰り返しながら、突き詰めていって欲しいのです。

 私たちは「共に学び・共に育つ」という同友会企業の共通理念の下で、社員一人ひとりが自分の頭で考え行動し、顧客の要望に積極的にこたえられる企業を目指しているのです。

 皆さんが主役です。共に成長し、荒波を乗り越えていきましょう。

 富山市で桜の開花を宣言した3月30~31日、富山同友会では合同入社式と新入社員研修会を行いました。

 深刻な景気の悪化が続き、新卒内定者の自宅待機などが報じられる中、20社から40名(昨年と同数)の新入社員が参加しました。

共に富山を元気にしよう

 入社式では、1年先輩の吉井智世さん((株)サンエツギフトアドバイザー)が「お客さまからうれしい言葉をいただくと“もっとお客さまに満足していただくにはどうしたら良いだろう”と、より積極的になり、仕事がとても楽しくなります」と自らの経験を語り、後輩を励ましました。

 また、新入社員を代表して川島佐季子さん((株)モリタ)が「仕事を通じて自立した社会人としての知識と教養、そして人間性を身につけ、社会の発展に貢献したい」と誓いの言葉を述べました。

 記念講演では、富山県を本拠地に活躍するプロ野球BCリーグの「富山サンダーバーズベースボールクラブ」の永森茂社長が、「野球を通して若者をはじめ多くの県民に“夢に挑戦すること”を伝えたい。そして富山をもっと元気にしたい。新入社員の皆さんの夢がかなうのが先か、われわれが先か、競争しましょう」とエールを送りました。

グループ討論で深まる気づき

 新入社員研修会では、(1)働くことの意義をつかむ、(2)社会人としての自覚を高める、(3)人間として成長する、の3つを研修のねらいとしています。

 経営者や幹部社員18名も参加し、新入社員とかかわりを深めながら、共に学び合いました。

 「企業とは、仕事とは」「学生生活と社会人生活の違い」「みんなで語ろう~プロとは何か」「中小企業の役割」などのテーマを、会員経営者が自ら講師となって語りかけ、新入社員はグループ討論を通してテーマを深めていきました。

 「企業の目的が社会貢献と知り、たいへんうれしく、やりがいのあることだと感じました」「新社会人の仲間と出会え、交流をもてたことは、これからの社会人生活にプラスになるばかりでなく、出会いのすばらしさを感じました」「社会人とは、会社とは、働くとは、についてみんなで話し合う中で、自分の中に変化が起きました」など、参加した新入社員から頼もしい声が寄せられていました。

「中小企業家しんぶん」 2009年 4月 15日号より