わが社の定期健康診断―企業変革支援プログラム ステップ1  その2

I 経営者の責任 (1)経営理念の成文化と社内の共有 (その2)

 「企業変革支援プログラムステップ1」で真っ先に出てくる「I 経営者の責任」のカテゴリーは、「労使見解」(中同協「中小企業における労使関係の見解」、『人を生かす経営』所収)の「1.経営者の責任」からきています。そこでは次のように問いかけています。

 「経営者は、いかに環境が厳しくとも、経営を維持・発展させる責任があります。経営理念・方針・計画を作り、企業の全機能をフルに発揮させて、企業の合理化を促進して生産性を高め、企業発展に必要な生産と利益を確保する ために全力を傾注することが求められます。あなたは経営者として以下のようなことを行っていますか?」。

 この問いかけそのものが、「I 経営者の責任」で求めている事項であり、「I」の(1)~(5)の小項目では、その具体的な実践を自己評価することになります。

 (1)では、経営理念の成文化と社員との共有の状況を聞いています。

 同友会が進めている経営指針成文化運動では、自社の社会的役割、存在意義を明らかにし、「経営理念」(経営するにあたっての根本的な考え)の成文化を何より大事にしています。

 自社の沿革、あるべき姿、使命、大切にすべき価値観を明らかにしながら、経営理念を成文化し、自社の存在意義を社内で共有していく。自己評価では、まず経営理念の必要性を認識していないのが「0」、必要性に気付いた段階が「1」と判断されます。「2」は、経営理念を成文化してはいるが、理解している社員とそうでない社員とのギャップが大きい状態。「3」は、経営理念が社員の判断基準となっている状態です。

 「4」は、理念の実現に向け、全社的に継続的に取り組まれ、さらにその状況が見直され、常に改善されている状態です。最後の「5」は、経営理念が社風となり、社員は自覚的に仕事に取り組み、企業の社会的存在意義を高めている状態です。

「中小企業家しんぶん」 2009年 5月 5日号より