会員訪問で見えてきた支部の姿~東住吉・阿倍野 前支部長 藤本 英治氏

共に危機突破し 1社も潰れない地域に

 支部長が会員訪問に力を入れることで、支部の活性化と地域づくりが見えてきた大阪同友会東住吉・阿倍野支部。今回は、前支部長の藤本英治氏が関西ブロック支部長交流会で行った報告から紹介します。

「みえる化」して会員訪問の輪広がる

 3年前に支部長になったとき、支部の会員数が100名から110名の間を行ったり来たりし、顔も知らない支部会員が倒産しても何もできないことにショックを受けました。

 昨年、「何とか退会を減らす取り組みを始めたい」と幹事会に提案したら、幹事会で「支部長が旗を振れ」と言われました。考えた挙句、支部長の自分が動かないといけないと決意し、「半年間毎週1回1日会員のところを回る」と宣言しました。

 「一緒に回って」と声掛けして、2~3人で訪問を始め、メルマガで逐一訪問の内容を載せていたところ、「支部長、がんばってるで、応援したろう」と10人以上にまで訪問部隊の輪が広がりました。

 毎週ファミリーレストランに集まり、情報交換して訪問する形になり、組織化できました。会員同士で、それぞれ訪問している状況が「見える化」できました。折しも50周年。その記念の集いに誘い、同友会を知っていただきたいと訪問を続け、110名のほとんどの会員訪問ができました。

本音が出る会員訪問

 訪問して気づいたことは、「本音がでる」こと、会社の実情や困っていることを話してくれるという発見でした。

 例会にしても、車座にしても「本音で」と言っていましたが、本音が出ていない、支部で本当のことを聞けていなかった反省の気持ちになりました。また退会者を訪問したら「同友会でこんなことしたかったのにできないので辞めた」との話が本音で聞けました。

 これまで会員の気持ちを知らなかったし、同友会理念も伝えきれていなかったことを反省させられました。案内を流しっぱなしでフォローできていなかった、顔を見せて伝えていくアナログが大事だと分かりました。

芽生えてきた「地域や国民とともに」の気持ち

 会員訪問して私自身の考えが変わりました。退会を減らしたい、支部を活性化したいとの思いで訪問を始めたのが、悩みを聞いたり、してほしいことを聞いたりしているうちに、同友会のいう「地域や国民とともに歩む」という気持ちが芽生えました。

 不況の中、「会員と一緒に危機突破して1社も潰れない地域にしたい」との使命感がでてきました。たくさんの会員と会い、自分のためにも勉強になり、自分の中に地域が落とし込めて、回る内容も変わりました。

 地域の会員訪問が支部の垣根を越えて他支部会員や商工会議所、工業会の会員も回り始めることになり、地域づくりの観点での企業訪問になっています。事務局と二人三脚で計画的・戦略的に地域の企業を訪問して、地域のことをよく把握することが「見える化」につながり、それが支部の活性化につながっています。

「中小企業家しんぶん」 2009年 7月 15日号より