愛知同友会景況調査(09年5月末調査概況)~悪化ペース緩やかに【愛知】

 同友会景況調査(5月末調査概況)がこのほど発表されました。業況判断DI(今月の状況が「よい」―「悪い」企業割合)は、前回のマイナス56から6ポイント改善してマイナス50となり、2006年11月調査以来の改善となりました。ただし、前年同月比では、マイナス68と、前回調査より2ポイント悪化しています。

 ヒアリング調査では、景況感を唯一大幅に悪化させた建設業から厳しい状況が報告され、その要因としては前回調査同様、官需・民需ともに仕事量が非常に少ないことがあげられました。通信設備関連を除いては明るい話はほとんど出てこず、今は政策効果に期待するしかないとのことでした。

 製造業では、自動車部品の量産加工をしている企業から、春から徐々に仕事量が増えつつあるとする声が聞かれました。とはいえ、その変化も7割減の落ち込みから4割程度の落ち込みへ「回復」したというもので、昨年前半の水準に戻ったというわけではありません。

 一方で、単品加工や設備関連、そして建築機械関連の製造業では、業績がさらに悪化しているとの指摘もあり、製造業のなかでも何を生産するかによって二極化が進展しているようです。

 なお、輸出向けの量産加工品に関しては現地調達・現地生産の動きが出てきており、今後、国内での仕事が減少する可能性も少なくないと懸念する声も聞かれ、注意が必要です。

 今回は、不況が個人消費へと波及していることを裏付ける意見が多くありました。中でも外食産業と食品小売業は4月頃からその影響を大きく受けているようで、外食産業は現在「壊滅状態」だという意見も出されました。

 食品業界では、良いものでも安くなければ売れなくなってきていることから、小売業者は値引き競争に巻き込まれつつあり、価格破壊が進行しているとのことでした。

 現在は、これまでの急激な景気の落ち込みが緩やかになり、徐々に停滞期に入りつつある局面のようです。本格的な回復へのきっかけはまだ見出せず、調整期が長引くことが予想されます。不況の長期化に備えた資金の確保や、次のステップのためのネットワーク作りが求められます。

「中小企業家しんぶん」 2009年 7月 15日号より