わが社の定期健康診断―企業変革支援プログラム ステップ1  その7

 ステップ1の「 I 経営者の責任」の最後の設問は「(5)企業の社会的役割と責任の自覚(地球環境問題や地域振興などへの取り組みについて)」です。

 ここでは、1993年の中同協総会宣言で発表された「21世紀型中小企業づくり」の2つの提起のうちの「第1に、自社の存在意義を改めて問い直すとともに、社会的使命感に燃えて事業活動を行い、国民と地域社会からの信頼や期待に高い水準でこたえられる企業」の部分を抜き出して設問としています。

 その上で「とりわけ地域とともに歩む中小企業は、コンプライアンス(各種法令を遵守し、社会的規範や企業倫理を守ること)とともに、社会の持続的発展のために地球環境問題や地域振興に取り組むことが求められています」として、環境問題や地域振興などの全社的な取り組みやその体制を問いかけています。

 「成熟度のレベル」は「0」の「地球環境問題や地域振興などに取り組む必要性を認識していない(取り組んでいない)」から、「5」の「企業としての社会的役割を自覚した取り組みが行われており、対外的に評価されている」までの6段階。

 試験運用の統計では、この項目の成熟度の平均値が低くなっており、経営課題となっています。

 日常的に目先の仕事に追われていると、地域における自社の存在意義や責任に関して経営者の自覚が薄くなります。日々の自社の経営活動にのみ、意識が向いてしまい、地球環境問題や地域振興という課題が身近なものに感じられないまま日々すぎていきます。

 企業は必要とされているからこそ存在しているのですが、追い求めるものが利益や売上のみになっていくことで、本来の存在意義が見えなくなっていきます。経営理念や原点に立ち返り、現状を社員とともにふりかえってみましょう。

「中小企業家しんぶん」 2009年 8月 5日号より