中小企業の活路はどこにあるか―日本経済の転換点に立って

中同協企業環境研究センター20周年記念で講演・シンポジウム

 11月13日、中同協のシンクタンク「企業環境研究センター」の設立20周年を記念し、講演・シンポジウムが立教大学太刀川記念館で開かれました。中同協、東京同友会、立教大学経済研究所が共催し、首都圏の会員を中心に、北海道から沖縄まで全国の会員や、中小企業団体、研究者、学生など130名が参加しました。

 冒頭、立教大学大橋英五総長が、同大と東京同友会との連携にふれてあいさつ。主催者を代表して、研究センター座長の永山利和氏(日本大学商学部教授)が20年間の歩みを振り返り、景況調査(DOR)に基づく情勢判断が経営と同友会運動の発展に貢献できたこと、さらに時代の新しい流れを創造することへの期待を述べました。

 第一部は3つの報告が行われました。第一報告は「景況調査の結果が示す景気の現状と問題点」。立教大学経済学部教授菊地進氏が、同友会調査の特徴点として記述部分がしっかりしていることを紹介。第2報告は「わが社の企業づくり、地域づくり」。中同協幹事長(株)ヒロハマ代表取締役会長広浜泰久氏が同友会と共に進めてきた自社の企業づくりを語りました。第3報告は「中小企業を取り巻く環境と地域づくり」。駒澤大学経済学部教授吉田敬一氏が成長志向から人間の幸福実現型の経済の担い手として中小企業の役割を説きました。

 第2部シンポジウムは、「中小企業が光を放つ“中小企業の時代”をどうつくるか」をテーマに、5人のパネリストが登場。コーディネーターは廣江彰・立教大学教授が務めました。

 小松善雄・東京農業大学教授は、北海道での大学連携や同友会会員が地域を元気にするあらゆる企画に参画していることを紹介。植田浩史・慶応大学教授も、青年を中心とした帯広市における屋台村の事例を述べました。三浦一洋・全国中小企業団体中央会調査部長は、地域に技術を残す中小企業の重要性を強調。岸井雄作・毎日新聞編集委員は、日本の強みはものづくりにあり、学校教育からの改革を指摘しました。鋤柄修・中同協会長((株)エステム会長)は、愛知同友会のインターンシップを紹介し、中小企業に対する認識転換を自社の事例も交えて展開しました。

 最後に、東京同友会湯本代表理事が「研究センター20年、継続は力なりを実証した。各分野の力をあわせて中小企業の前途を切りひらこう」と述べ、閉会しました。

「中小企業家しんぶん」 2009年 11月 25日号より