だれもが働く幸せを企業で~大山泰弘氏を招き秋の特別講演会【滋賀】

 11月17日、滋賀同友会湖南支部では、大山泰弘・日本理化学工業(株)会長を講師に迎え、「秋の特別講演会」を開催しました。当日は、県内はもとより近畿圏の同友会からも参加者があり、あわせて247名が参加しました。

 大山氏は、会長を務める日本理化学工業(株)で、74人の従業員中、54人が知的障がい者であり、今年、渋沢栄一賞を受賞するなど、各方面から注目を集めている方。今回は、「知的障がい者に導かれた日本理化学の経営~人間尊重の経営をめざして」をテーマに、次のように講演しました。

 「頼まれて15歳の障がい者2名を雇用し、困った私は法事の席で隣に座ったご住職に『字も読めないのになぜ毎日満員電車に揺られて働きに来るのか判らないんです』という質問をすると、『人間というのはお金や時間でなく、幸せを求めています。その究極の幸せは、愛されること、誉められること、役に立つこと、人に必要とされること』と返ってきました」。

 大山氏は、愛されることは別としても、他の3つは企業で実現できると考えて実践。その結果、障がいを持った方の寿命は当時45歳といわれていましたが、50年前に入社した方が現在も働いているとのこと。「生きることも含め、真の幸せは企業が担うべきなのではないかと思うようになった」と語りました。

 また大山氏は、「憲法で保障されている労働の権利と義務は働く幸せであり、企業の社会貢献とは、幸せになりたいという願いにこたえ、実直に取り組むこと。また国と連携して取り組むべきで、ヨーロッパにはそのモデルがあり、例えば一定数以上の障がい者雇用をした企業に対して最低賃金分を行政が補助するなどが行われている」と述べました。

 最後に大山氏は、働く幸せ、すなわちすべての人に働く場を生み出す仕組みづくりをぜひ同友会の運動として取り組んでいただきたい、とまとめました。

 参加者からは、「企業が人を幸せにする。働くことを見つめ直したい。みんなが働く幸せを実感できる社会、私も必ず実現できると思います」などと感想が寄せられました。

「中小企業家しんぶん」 2009年 12月 15日号より