【中同協第42回定時総会特集】地域や社員と共に歩む企業をめざして~参加者の感想

同友会で学びあい、ぶれない理念のもとで経営を

 全国総会では、「2010年度の重点課題を深める」分科会(2分科会)、「企業づくり運動」の分科会(5分科会)、「同友会づくり運動」の分科会(4分科会)、「地域づくり運動」の分科会(4分科会)、「見学分科会」(2分科会)、あわせて17の分科会が開かれました。参加者から寄せられた感想を紹介します。

【第1分科会】日本経済社会の発展方向と中小企業の役割

報告者/駒澤大学経済学部教授 吉田 敬一氏

 今回、初めて中同協の総会に参加し、第1分科会に参加をしました。この分科会は、「日本経済社会の発展方向と中小企業の役割」と題して、駒澤大学の吉田敬一教授の講演を中心に行なわれ、約90名の出席がありました。グローバル化が進んで行く中で、大企業と中小企業の役割は大きく変わり、とりわけ中小企業は利益追求だけでなく、地域の一端を担う使命を果たして行くべきであり、今後、右肩上がりの経済が望めない日本では、「GNPの拡大」から「GNH(国民の幸福度)の増大」を目指していかなければならないとの先生のお話は、たいへん共鳴できるものでした。元来、人は「幸せになるため」に働いているのに、いつの間にか「利益(お金)=幸せ」という錯覚に陥っているのではないでしょうか。中小企業の経営者として、家族、社員、取引先を幸せにし、地域や国家に貢献することは、元来持つべき使命です。「よい会社、よい経営者、よい経営環境をめざす」という同友会精神に、まさに合致するものではないかと思います。全国から集まった会友との意見交換も私にとってはとても新鮮で、有意義な時間を持つことができました。

(株)コミュニティタクシー 岩村龍一(岐阜)

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【第2分科会】中小企業憲章制定運動の中間総括と今後の展望

報告者/(株)エステム 会長 鋤柄 修氏
(株)杉村精工 会長 杉村 征郎氏
助言者/神奈川大学経済学部教授 大林 弘道氏

 “今年の全国総会は記念すべきものになる”との思いから参加し、第2分科会を選択しました。中小企業憲章が6月18日に閣議決定されたことを受けて、同友会の憲章草案(第2次)と政府案の位置づけはどうなのか、今後の活動をどの様にしたら良いか、がテーマでした。

 分科会の報告者は、中同協憲章推進本部長の鋤柄会長、杉村氏、大林先生、座長は大橋氏と憲章を推進されてきた中心メンバーの方々からの報告でしたが、「今から憲章運動が新たにスタートするのだ」ということを理解しましたし、参加メンバー全員が意思統一できたと思います。

 「同友会の憲章草案を活動の理念として、草案に書かれている『中小企業は…』の部分を、自社の名前に置き換えて行動すること」と言われた杉村氏の報告には、「そうだな」という思いと「今まで以上に経営の責任があることを自覚しなければならない」ということを感じました。

 そして、閣議決定された政府案は同友会の考えが多く取り入れられた内容となってできた(できてしまった!)ので、当面の行政施策がこれを基準として行われているか? を同友会としては検証し続けることと、さらには同友会案に近づける活動をし続けなければならないこともわかりました。

 2日目の分科会では「今後の活動をどのようにするか」について討論を行いました。まずは、各同友会で「憲章」をいかにして会員に伝えるかですが、例会、ブロック会、委員会、運営委員会などあらゆる場面で「憲章を話す」「話す人を増やす」活動を行って、憲章の意義を広めて行かなければならないと思います。

 「われわれ中小企業が主役となる日」を目指して、「地域と共に歩む」「良い会社」づくりをし続ける「責任と実践」、これをキーワードとして経営に取り組む思いを新たにしました。

(株)ステップワン 松田光治(兵庫)

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【第3分科会】共に人間として、人間らしく生きるために

報告者/(株)ユタカ商会 代表取締役社長 本郷 利武氏

「今回、私は第3分科会の企業づくり運動「共に人間として、人間らしく生きるために―同友会のめざす社員教育―」に参加させて頂きました。

 第3分科会を選ばせていただいた理由は、自社での社員教育の進め方に何か役に立てば良いかなと軽い気持ちで選びましたが、本郷さんのご報告では、自社での取り組み、同友会のめざす社員教育は何か、など短い時間でしたが、すごく参考になるご報告をお聞きすることができました。

 その中でも、「人は一人ひとり違うかたちで生まれ、いろいろな環境で育って行く。役員も社員も常にフラットな関係で学び続け、共に育つことが大切である。教育・医療は自分の給料では買えない、公共の大切さ、地域の大切さを社員に考えるキッカケづくりを提供しましょう」という言葉に、頭のどこかでは意識していても、なかなか行動に出せていないところを再認識できました。

 ご報告をキッカケに、できることから地道に、いろいろな可能性を引き出し、社員と共に学び続けたいと思います。最後に本郷利武様、軽い気持ちでの参加でしたが、思わぬ収穫がありました。この分科会に参加して良かったです。ご報告ありがとうございました。

(株)エクセル 吉田 稔(京都)

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【第8分科会】会員増強は地域を元気にする近道

報告者/ホンダカーズ小樽(株)代表取締役社長 寺下 知志氏

 青森同友会の会員数が310社前後で停滞してから5年を迎えました。毎年会員増強月間を設け取り組みして会員増にはなるのですが、退会者が後を絶たず追いかけっこをしている状況です。しりべし・小樽支部組織率11%の報告とグループ討論から1つ、2つでも参考になればと思い参加しました。

 私自身は会員増強に関わりをもったり、委員になって活動はしておりませんでした。今回この分科会に出席したのは、自分自身が会員増強の意義を深く掘り下げることが必要ではないかと考えた上での出席です。

 財政のため、事務局移転のため、事務局員増のためとかではなく、「主役は会員である」、そのための増強である。そこで出てきた答えは、「会員のために会員を増やす」ことの意義でした。目的は「地域活性化」「会員の資質向上」「他団体の手本」「数の力」の4つでした。それは毎月の例会がとても大切で、重要な役割を担っている。充実させないと駄目であると結論づけられました。

 わが同友会の例会出席率は下がる一方で活気が失われつつあります。出席率をアップさせるために何をどうしたら良いのか試行錯誤しておりますが、あきらめず支部幹事会・理事会でもっともっと議論し、みんなで行動することを位置づけていきたいと思います。

 人は人のために尽くして喜びを感じ、幸せに浸ることができます。だから私は会員のために全力を尽くそうと、分科会での学びをもとに旗を振って行動していく所存です。議論を深めてくれたグループ出席者皆様に感謝です。そして最後に、グループ長の大分同友会「森岡真一郎」さん、ありがとうございました。

(有)和興電気 本堂 均(青森)

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【第12分科会】めざせ! 輝く企業へ、地域と共に

報告者/(株)山田製作所 代表取締役 山田 茂氏

 この分科会に参加するまでは、企業が「地域と共に」成長していくことの大切さは認識していましたが、地域のために企業として、経営者として具体的に何をすべきなのかということは深く考えていなかったように思います。

 私は本年度より支部の役員として同友会に関わっていますが、山田氏の報告から多くのヒントを得ることができました。地域が良くなってほしいと思うのは、その地域に関わるすべての人の願いだと思いますが、それを担うのは中小企業であり、また行政でもあります。官民一体となり、お互いに学び、理解し合うことが、地域を活性化させる秘訣であることを学びました。同友会運動を通して、行政・他団体から当てにされる存在となり、地域を活性化させる主体者となりたいと強く感じました。 私の会社は、小さな町工場ではありますが、地域の中で“ぽっ”と輝(ひか)る何かを持つ企業へ成長したい、そのためにはもっともっと同友会で学び、ぶれない理念のもとに経営をやっていこうと決意しました。

 また、支部の役員として今回学んだことを、支部の会員の方々に伝えていきたいと思います。

(株)ブンカ巧芸社 峯元信明(鹿児島)

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【第16分科会】蘇る商店街、復興への道のり

報告者/餅屋清末杵や 代表者 清末 浩一氏
(有)野崎 代表取締役 野崎 良氏

 今回は、以前から一度行ってみたかった豊後高田「昭和の町」見学分科会ということで、楽しみにしていました。私の住む愛媛県東温市も、人口3万人程度の同規模の町で、松山市のベッドタウンとして人口は増加していますが、地元の商店街はシャッター通りとなりさびれています。商店街、商工会の活性化の、何かヒントとなるものが得られればと思い、見学会・グループ討論と参加させていただきました。

 「昭和の建築再生、昭和の歴史再生、昭和の商品再生、昭和の商人再生」、この4つのコンセプトを基本として、何度も何度も議論を重ね昭和の町が完成した、という発表に感動しました。街づくりには「よそ者、若者、バカ者」が必要であるというお話から、豊後高田を愛するバカ者の情熱が結集して、やっとできた街であると認識しました。

 今後も、地域と一般市民を巻き込んだ街づくりから、豊後高田を愛する子どもたちが育ち、ますます活気と笑顔あふれる街に進化することを楽しみに、また訪れたいと思います。

 最後に、まとめのできないグループ長にもかかわらず、グループの方々のご協力により、楽しく意見交換ができました。ありがとうございました。

(株)エスディー企画設計 篠原治行(愛媛)

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「中小企業家しんぶん」 2010年 8月 5日号より