条例で地域の復興を~口蹄疫被害の東児湯5町で学習会【宮崎】

北海道別海町・釧路市に学ぶ

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 4月20日に宮崎県都農町で第一例の発生を確認した口蹄疫。8月27日に終息宣言が出されるまでに、29万189頭の家畜の命が失われました。宮崎同友会は、口蹄疫被害からの復興をめざし、行政・他団体などに広く呼びかけて、「中小企業振興基本条例制定に向けての学習会」を開催しました。

 宮崎県の試算によると、被害額は畜産と観光などを含む関連産業をあわせて2350億円に達すると見込まれ、畜産に限らない経済全般の立て直しが必要とさまざまな取り組みがなされています。

 宮崎同友会では、口蹄疫被害からの復興には一過性のイベントとはちがう形の支援ができないかと考え、そこに中小企業振興基本条例(以下「条例」)の制定を結びつけました。

 口蹄疫被害の集中した東児湯5町(都農・川南・木城・高鍋・新富)に同友会会員は12名、畜産関係者はいませんでした。都農町の商工会会長が会員であることを糸口に、9月中旬、5町の商工会会長に集まってもらい、条例の概要を説明し学習会の開催を打診したところ、「勉強してみよう」となりました。

 11月1日に川南町で開催した「中小企業振興基本条例制定に向けての学習会」には、5町から商工会会員、行政、議会関係者、畜産経営者等41名(うち宮崎同友会会員9名)が参加しました。

 学習会では、北海道同友会別海地区会幹事長の山口寿氏(富田屋(株)社長)、北海道釧路市産業振興部商業労政課長の高木亨氏が、それぞれの自治体での条例制定の取り組みを報告。最後に中同協の瓜田靖政策局長が、中小企業振興基本条例制定の意義を説明しました。

 人口や基幹産業が川南町と同規模でありながら町として全国で初めて条例を制定した別海町。条例の基本理念に「産消協働」を掲げ、円卓会議ネットワークシステムで運用をはかっている釧路市。質疑応答では予定時間をオーバーして次々と質問の手があがりました。

 口蹄疫被害からの復興支援として全国から寄せられた多くの義援金。この義援金が学習会の開催を支えてくれました。

 「こういう考え方があったのか」「ぜひ条例制定に取り組んでいきたい」「同友会のことをもっと知りたい」―若手畜産経営者を中心に頼もしい反応がかえっており、これをきっかけに同友会で共に学ぶ仲間も増えています。宮崎同友会の役員も受け皿になろうと目が輝いてきました。宮崎初の条例制定が報告される日はそう遠くはありません。

「中小企業家しんぶん」 2010年 12月 15日号より