新たな仕事づくりは未来の地域づくり【岩手】

「新しい仕事と雇用づくりフォーラム」を産学官金連携で開催

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 昨年12月6日、岩手同友会は「新しい仕事と雇用づくりフォーラム」を開催し、60名が参加しました。会場となった盛岡市産学官連携研究センター(コラボMIU)は岩手大学工学部構内にあり、岩手同友会もこの日、同センター内に新事務所を開設したばかり。早速の産学官金連携の取り組みとなりました。

 厳しい環境下で、どの企業にとっても新事業創出への期待は大きいものの、どこから着手すればよいか、なかなか手がかりが見えてこないのも実際のところ。今回のフォーラムは、各企業の持ち味を寄せ合い、新たな事業づくりに具体的に踏み込んでいくスタートになることを期待し、各自治体、商工会議所など関係団体、金融機関、岩手大学の学生にも呼びかけて開かれました。

地域の課題解決は中小企業が知恵を絞って

 まず、「連携で新たな仕事づくり・雇用づくりへの期待~各機関の特長、持ち味紹介と魅力的な活用法を共に考える」をテーマに、いわて産業振興センター専務理事・長葭常紀氏、岩手大学地域連携推進センター長・鈴木幸一氏、日本政策金融公庫盛岡支店長・佐藤大志氏、盛岡市商工会議所専務理事・古澤眞作氏、盛岡市商工観光部参事企業立地雇用課長・村井淳氏の各氏が報告しました。

 共通して話されたことは、中小企業が地域の雇用のほとんどを担っている重要性、地域の課題解決を可能にするのは企業同士の連携の力が最も大きいこと、そのために各機関の特長をフルに活用して欲しいという応援メッセージでした。

経営者の仕事は、知恵を集め、具現化すること

 同友会を代表して田村満代表理事は「岩手同友会事務局が岩手大学構内に移転し、このようなフォーラム開催も可能になりました。情報も人もこれまでにも増して集まって来る。そこに大学の知恵・先進性、行政の皆さんの情報・計画性、金融機関のバックアップが加われば、県内各地にたくさんの事例が出てくるのは間違いありません。経営者の仕事は、こうした場所に積極的に出て、さまざまな人と意見交換をし、その情報を新たな事業に具現化していくこと。ここから始まる産学官金の連携に、大いに期待しています」と呼びかけました。

 その後「どうすれば地域で新しい仕事が生まれるか」をテーマに、グループ討論を行いました。「アイデアや事業のイメージはあるが、もう一歩踏み込めない。気軽に自分の思いを伝える場が欲しい」(企業)、「経営者の本音はほとんど聞く機会がない。こうした場が日常的にあれば、互いの思いをぶつけ合うことができ、自分たちが具体的に何を応援できるかが見えてくるのでは」(連携機関)などの意見が出されました。

 学生からは「岩手の人口が急激に減る中で、地元の中小企業がこんなにも危機感を持ち、地域のことを考えていることに驚いた。『新たな仕事づくりは未来の地域づくり』という経営者の方の言葉が響いた」など、今まで産学官金それぞれが意見を自由に出し合う場がなかっただけに、新鮮な感動があったフォーラムとなりました。

 今後、岩手同友会ではコラボMIUを拠点に、毎月定期的に「新しいしごとを創る会」を開催するなど、具体的な事業の創出、雇用づくりに直結させることを目的に、産学官金それぞれの機関と企業が日常的に交流、相談、研究を進める場を重ねていきます。

「中小企業家しんぶん」 2011年 1月 25日号より