経営指針づくりの推進も中期計画で~農業経営部会に「農場指針作成プロジェクト」が発足~【北海道】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】9

 各同友会の実践事例を紹介する「変革と挑戦」シリーズ。今回は、北海道同友会の経営指針づくりの取り組みを紹介します。

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 2月18日、函館湯の川温泉では、熱い議論が続いていました。

 「うちの支部では経営指針がなかなか進まない。会員が増えないことと、経営指針が広がらないことの根っこは同じではないか」。
 「うちの支部は会員が増えて枝葉の会合がものすごく増えた。こんな時こそ経営指針のような幹となる活動を太くしていくべきではないか」―。

 北海道同友会では、金融アセスメント法制定運動を通じて、「地域と中小企業にやさしい金融システムをつくることと、企業の経営指針確立は表裏一体」と、それまで一服気味だった経営指針づくりの取り組みを強化していきます。2005年からは、理事会の下に経営指針づくり推進委員会を設置し、全支部で経営指針研究会がつくられました。函館での議論は、1泊で行われた経営指針づくり推進委員会での1コマです。

 推進委員会では、全道12の支部を4つのブロックに分けて、支部間の連携を図りながら推進体制を強化。経営指針に関するアンケートやカリキュラムのすりあわせ、研究会メンバーの掘り起こしから成文化後のフォローなど、委員会として中期計画を立案し、PDCAを回すようにしています。目下の課題は、「企業変革支援プログラム」の普及と活用です。

 一方札幌では、2月24日に、全道農業関連部会交流会が開催され、山形同友会の会員も含めて100名が参加しました。このときのテーマが「農場指針」でした。札幌支部農業経営部会が経営指針委員会のサポートを得て、「農場指針作成プロジェクト」を発足させたのは昨年6月です。にわかに湧き起こった TPP問題も、自立した農業、魅力ある農場経営を考える大きなきっかけとなりました。

 それまで農協の指導で営農計画は立てても、「何のために農場を経営しているか」という問題で悩んだことはなかったという方が大半です。中同協の『経営指針作成の手引き』をベースに作成した「農場理念」と「営農方針」のシートを埋めながら、議論は毎回深夜に及びました。

 (有)タカシマファームの高嶋浩一社長は、「農業を語るのではなく『農場』を語り合える仲間になれた」と8カ月に及ぶ論議の成果を報告。経営指針づくりの運動に、新しい可能性が生まれています。

「中小企業家しんぶん」 2011年 4月 15日号より