【特集】合同入社式新入社員研修会-フレッシュな力で会社と日本を元気に

 各同友会で行われている合同入社式・新入社員研修会。経営者からの期待の言葉(神奈川)、新入社員研修の模様(東京)、先輩社員の激励の言葉(滋賀)、新入社員の決意(愛知)を紹介します。

【経営者からの期待】仕事の社会的必要性を理解して―(株)総合環境分析 代表取締役 石渡 裕氏(神奈川同友会代表理事)

石渡氏

 今回の東日本大震災では、多くの方が大変大きな被害を受けました。福島第一原子力発電所の問題も予断を許さないものがあり、日本は今、大変な状況にあります。「おめでとうございます」となかなか言いにくい時期ですが、今日、64名の新入社員の方々のお顔を見て、私自信も頑張らねばという気持ちになりました。

 皆さんが大変な就職難を乗り越え、大震災という未曾有の状況の中、ご自分の希望する会社に入社され、そして本日を迎えたということは誠によろこばしいことだと思います。本当におめでとうございます。

大きな社会的役割を担う中小企業

 中小企業といってもいろいろな会社があり、それぞれの会社でさまざまな仕事をしていると思います。皆さんに申し上げておきたいことは、民間企業で働いている人の8割は中小企業で働いているということ。そして、中小企業が日本の経済や暮らしの中で果たしている役割は、非常に大きいものがあるということです。

 中小企業憲章というものが、昨年の6月18日に閣議決定されました。そこには「中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する。創意工夫を凝らし、技術を磨き、雇用の大部分を支え、くらしに潤いを与える。意思決定の素早さや行動力、個性豊かな得意分野や多種多様な可能性を持つ。経営者は、企業家精神に溢れ、自らの才覚で事業を営みながら、家族のみならず従業員を守る責任を果たす」など、中小企業が「経済を牽引する力」であり、「社会の主役」であるということが謳(うた)われています。

 大企業の社会的役割も大きいものがありますが、暮らしの隅々にわたって、さまざまな商品やサービスの提供の大部分を担っているのは中小企業なのです。

 皆さんが入社された会社で、ご自身の仕事をよく見ていただきたいと思います。仕事というのはお客様があってはじめて成り立ちますので、必ず社会的必要性があって行っているわけです。みなさんの会社が、どのような社会的必要性を果たしているのかということを、よく理解して仕事に取り組んでいただければと思います。

 皆さんにとって、今日からの1年は、とても早く過ぎると思います。仕事が見えてきたら、ぜひ早い時期に「1年後に自分がどのようになっていたいのか」ということを、自分で描いていただきたいと思います。明確な目標を持つのと、持たないのとでは、1年過ぎると大きな違いがでてきます。

同期の仲間と切磋琢磨して

 中小企業は、1つの会社で同期の方はそれほど多くないと思います。同友会では、新入社員研修をはじめさまざまな研修を行っていきます。本日顔を合わせた方全員が同期ということになりますので、会社の枠を超えて、ぜひ多くの知り合いをつくって、お互いに切磋琢磨していっていただければありがたいと思います。

 非常に厳しい時期ですが、皆さんが会社でフレッシュな力を発揮して、それぞれの会社が伸びるということが、復興の力になり、日本を元気にしていくことになると思います。皆さん方の今後の頑張りにおおいに期待しています。

共に育ち、共に支え、共に未来を~163人が思いをひとつにした新入社員研修【東京】

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 春の陽気に包まれた4月4~6日、群馬県内にて東京同友会主催「2011新入社員研修」が「共に育ち、共に支え、共に未来を」をテーマに開催されました。

 事前に行われた東京同友会による大震災の影響調査では、8割の会員企業が「影響あり」と回答するほど、震災の影響が大きく影を落としています。今回の研修会場となったホテルも、震災の影響で1万8000件ものキャンセルがあるなど大変厳しい状況です。

 このような経営環境の中、今回の新入社員研修は、共に育つこと、人を育てることを第1に考え、共同求人委員会と教育委員会を中心に実行委員会をつくって取り組まれました。また、昨年の3日間通学型から従来の宿泊型研修に戻し、会員手作りのより内容の濃い研修となりました。

 「思いを1つに、参加者全員の力でやり遂げよう」と、参加企業51社、新入社員・運営委員計163名が参加。震災前の申込み数とほぼ変わらない人数での開催となりました。

 避難訓練から始まった1日目は、オリエンテーションで同友会とはどういう会か、また研修の目的や特色などを確認。その後の講義では、企業で働くことの意味と社会人として働く責任、さらに失敗を恐れずに取り組む姿勢を学びました。

 2日目は、6時間におよぶビジネスマナー研修を基本動作のロールプレイングを交えながら行い、研修生は助言者からアドバイスを受け、積極的に参加。また講義では社会人としての常識、情報セキュリティなどを学びました。

 3日目は、入社6年目になる2人の先輩社員が、仕事で突き当たった壁をどう乗り越えたのか、自身の体験を通してアドバイス。続いての講義「豊かな人間をめざして」では、中小企業の価値、そして新入社員への熱いメッセージが語られました。

 参加者全員の思いを一つにやり遂げた今回の新入社員研修。震災の影響など厳しい状況の中、研修生は3日間の研修を通じ、この状況への危機感と大きな期待を背負い、社会人としての一歩を踏み出しました。

【新入社員の決意】初心を忘れず何事にも全力で―清水食品(株)(愛知)山 早登氏

 私たちはつい先日まで学生でしたが、本日から社会人の仲間入りをします。まだ経験も知識も乏しく、これから多くのことを学ぶことになると思います。学生生活とは全く異なる生活の中で、現実や社会の厳しさを味わうこともあるかと思います。

 しかし、それに負けることなく、皆さまのご期待にそえるよう仕事に励み、当社、そして社会の繁栄を図るため、日々の努力を惜しみません。そして、日々の努力の積み重ねは、私たち一人ひとりの財産となり、夢や目標を実現させるための糧となるはずです。

 社会人として、一つひとつの仕事に対して責任を持ち、工夫し、考え、少しでも自分自身が成長していけるように努めて行きます。そのために、これからの毎日、先輩方の技を目で見て盗み、分からないことがあれば先輩方からアドバイスを頂き、1日でも早く先輩方に追いつけるよう努力を積み重ねて行きます。

 先の東日本大震災が発生しました世の中で、今、私たちに何ができるのか、また、今後の被災地復興に向けて何をしていくべきかを考え、現実から目を逸らすことなく、一歩ずつでも困難を乗り越えて行こうと考えております。

 その上で、仕事に対する希望や期待、夢など、初心をいつまでも忘れることなく、新入社員らしく何事にも全力で取り組み、精一杯頑張ります。さらに、自分の行動に対して責任と自覚を持ち、一社会人としても立派に成長していくことをここに誓います。

(愛知同友会合同入社式での社会人宣言より)

【先輩社員の激励】昨日より一歩だけ前に出る ―B.P.K.(有)(滋賀)村田 彰子氏

 私は、昨年この入社式に参加しました。当社は美容業を営んでいますが、入社当時、「大げさな会社だな」というのが感想でした。それは、経営理念に「あなたを本気でキレイにしてあげたい!~世界平和のために~」とあったからです。

 「世界平和って?」という疑問を持ち、創業者に聞くと「お客様のキレイは内面的なキレイ。当社はお客様をキレイにすることで、自信と幸せ、そして笑顔を広げていきます。この輪が広がれば、些細な争いも戦争もなくなっていくよ」と。

 働くうちに、スタッフがみんな同じ目的を持って働いている姿に、理念の大切さが伝わってきました。今では、これがわからなければ現場に立ってはいけないと思っています。

 先輩スタッフを見ていると、私が目標も持たずカットを続けることが、お客様にとって本当に失礼なことだとわかるようになってきました。それは、技術を磨き提供することだけが美容師の仕事ではないと気づいたからです。お客様は子育てをされている方や、いろんな悩みを持った方がいて、先輩スタッフはカットはもちろん、どうすればお客様の問題解決のお手伝いができるかを考えています。カットの技術はもちろんですが、真剣に人を思いやること、自分の疑問や未熟なところをどうすればよいかを考え、実践することが大切だと学びました。

 明日からの仕事で、できることは限られています。「昨日より一歩だけ前に出る」という言葉が私は大好きで、最低限1センチメートルでも前に進み、毎日積み重ねていくことを心がけています。そうすればお客様や働く仲間、そして皆様の思いを必ず実現できると思います。私もお客様を本気でキレイにしていきたいと思います。

(滋賀同友会新入社員合同入社式での先輩社員からの激励の言葉より)

「中小企業家しんぶん」 2011年 4月 15日号より