希望のこいのぼり800匹が舞う 陸前高田の朝市に7日間で2000名【岩手】

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 岩手同友会の「けせん朝市」が5月1~8日までの7日間(5月2日は強風のため中止)、陸前高田市で開かれました。「街の復興のためには、早く商店を復活させなければ」と支部会員が同友会の枠を越えて呼びかけ、10店が集まりました。

 震災から2カ月が経ち「そろそろ新鮮な魚が食べたい」「賑わいがあって自分で選べる店が欲しい」など、地域から切実な声もあがっていました。何もかも失ってしまった商店や飲食店では、再開をあきらめかけた経営者の声も聞こえていました。そんな一人ひとりを訪問し支部役員が声をかけ、励まし「一緒に地域を再興しよう」と握手をしていきました。

 飲食店も11店が日替わり出店を決めました。しかし、肝心の小さなプレハブが手に入りません。無いならつくるのが同友会です。急きょ「同友ハウス」をつくることを決め、連日県内各地から屋根瓦業、庭師、浄化槽業…、総勢20名を越える方々が毎日深夜2時すぎまで作業に入り、たった3日で厨房付きの調理場を完成させました。

 オープン初日、全国から送っていただいた自転車配布に並んだお客様は約200名。「旨(うま)い。そう、この味」。笑顔で蕎麦(そば)をすする姿に「料理人にとってこの瞬間が最高の幸せ」。互いに笑顔で一杯の瞬間でした。

 空には全国から寄せられた800匹の希望のこいのぼりが元気に泳ぎ、広場では同友会の会員による宝探しゲームや、白地のこいのぼりに自由に絵を描くイベントなどが行われ、たくさんの子どもたちの歓声がこだましました。期間中訪れた延べ人数は2000名を越え、ますます期待は高まっています。

 群馬同友会からはスタンド型風力太陽光発電機((株)松村機械製作所寄贈)、三重同友会からは、ビタミンみえのソーラークッカー(太陽熱調理器)も到着、全国各地から届いたこいのぼりとともに、けせん“朝市”は、岩手から全国の皆さんと共に打ち上げた復興への狼煙(のろし)となりました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 5月 15日号より