「何のために生きるのか、働くのか」―こんな時だからこそ語り合おうと、岩手同友会が合同企業説明会

 5月11日、岩手同友会の「2012いわてJobway合同企業説明会」が開かれました。7回目となる今年も、昨年秋から県内各地の大学や短大、専門学校に参加を呼びかけて来ました。東日本大震災後に行われた共同求人委員会では、「今こそ私たちが続けて来た、単なる人採りではない求人活動を貫こう。経営理念と人を育てる熱意を伝え、互いの人生を語り合う場にしよう」と決定。当日午後1時からの就職ガイダンスはすぐ満席になりました。

一緒に肩組み合って復興へ

 就職ガイダンスでは、まず共同求人社員共育委員長の小川原一成氏((有)小川原自動車鈑金 代表取締役)が、次のような熱いメッセージを学生に送りました。

 「(株)八木澤商店の河野社長は、昨年この共同求人で2名の採用を決め、あの未曾有の震災で会社が無くなってしまったのに内定を取り消さず、この4月6日、入社式を予定通り行いました。これが私たちの想(おも)いです。何のために生きるのか、何のために働くのか、常に問いかけ続けてきました。地域に根ざす中小企業はみんなそんな想いでやっています。学生の皆さん、こんな時こそ、一緒に肩組み合って力を合わせ、岩手の復興を実現しましょう」。

 次に、新卒で入局し3年目を迎える岩手同友会事務局員の藤嶋悠也さん。「震災後、必死に生きる経営者の姿に、迷っていた自分の気持ちが決まりました。嘘をつかない、逃げない、そして何もない自分をさらけ出すこと。皆さんもそういう気持ちで向き合えば、全て受け止めてくれる経営者の方々が今日ここにそろっています」と自らの体験から来る迫力ある言葉に、前のめりになって聞く学生。

 最後に、東日本機電開発(株)代表取締役の水戸谷剛氏が、「学生の皆さんへの経営者からのメッセージ」を送りました。

 「皆さんは、今自分がどんな会社で働くのか、悩んだり迷ったりしていると思います。でも、決して焦って選ぶのではなく、働くこと、生きることを真剣に考え、自分自身を真剣に探していくという気持ちで大いに悩みながら進んでください。

 実際にそこで働く人の姿や声、そして経営者の方にどういう会社にしたいのか、どう地域に貢献しようとしているのか、会社の成長と一人ひとりの社員の成長をどう考えているのか、たくさんの経営者から直接聴いて欲しいと思います。会社の生き方は経営理念です。そこに触れることで皆さん自身の生き方を考えて欲しい」。

 ガイダンス後は、企業ブースをまわり真剣にメモを取る学生の姿が終了間際まで続きました。参加企業は12社、学生参加者は189名。期待の大きさを感じる説明会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 5月 25日号より