地域再生は私たちの手で―緊急アピールを採択【中同協第4回幹事会】

 6月2日、東京で中同協第4回幹事会が開かれ、40同友会から83名が出席しました。グループ討論では、大震災からの復興について熱く討論。幹事会緊急アピールを採択しました。

会議の冒頭、今回の東日本大震災で亡くなられた方々に哀悼の意を表し、全員で黙とうを捧げました。

 鋤柄中同協会長は、「あの3月11日以降、同友会はきめ細かく機敏な支援活動を行うことができました。特に同友会事務局の情報機能は目を見張る力を発揮し、復旧に大いに貢献しました。他の団体ではみられない動きができたと思います。被災地同友会の会員企業は、地域になくてはならない企業として仕事をつくり、社員を守るために立ち上がっています。これからも支援を強め、全国から励ましの輪を広げましょう」と開会のあいさつを述べました。

 会議では経過報告の後、中同協第43回定時総会の議案や予決算、役員候補名簿案、議事運営ルール等を承認しました。第38回青年経営者全国交流会(9月15~16日、富山市)の参加目標などについても承認されました。また、5万名推進本部が「5万名推進・組織強化本部」に名称変更することが提案され、承認されました。

 第2部では、中同協・東日本大震災復興対策本部と被災地同友会から取り組みの報告があり、「大震災の影響が全国に広がる現在の情勢をどう認識し、企業防衛と同友会運動の更なる前進をはかるか」をテーマにグループ討論が行われました。また幹事会緊急アピール「地域の再生は私たちの手で」を採択しました。

 最後に、広浜中同協幹事長が次のようにグループ討論をまとめました。

 第1に、被災地では会員の力強い立ち上がりが報告され、同友会が復興・再生の先頭に立っていることに確信を持ちました。

 第2に、大震災によって商売の仕方が変わってきており、同友会のネットワークを活用するなど対応が求められています。

 第3に、e.doyuでアンケートをタイミング良く取り、施策の使い勝手を良くするなど同友会として適切な提言ができる条件が広がっています。

 第4に、「今こそ同友会」をアピールできるチャンス。諸活動を会員増強にもつなげましょう。

【緊急アピール】地域の再生は私たちの手で~連帯の輪で命をつなごう。友は全国にいる

 3月11日に発生した東日本大震災は、被災地だけでなく日本経済全般に大きな打撃を与え、会員企業の8割がその影響を受けています。

 全国の支援も受けて、岩手では「街の再生は我々がやる」、宮城でも「この地域を絶対元気にする」と復興に向けて奮闘しています。また、原発事故や風評被害も出ている福島では「今こそ中小企業家魂を発揮し、企業存続にむけ全力を」と行政とも連携して、地域を守るために会員の仲間たちががんばっています。

 この苦境にあって、私たちは、労使が一致結束し“重い荷物”を分かちあい、新たな力を培って、企業変革を積極的に進め、「小さな命の灯(あか)りを、大きな灯(あか)りにし、地域を照らす」べく、雇用を守り、地域を守るために全力を尽くしましょう。

 今こそ、私たちは中小企業憲章の理念に立ち、同友会での学びと実践を力に、命をつなぐために社員と地域を守り、1社もつぶさない覚悟で、この苦境に立ち向かっていきましょう。

 中同協幹事会として、以下のことを会員の皆さんに呼びかけます。

1.環境の変化を含め経営の現状をしっかり把握し、全社の共通認識にしましょう

2.自社の社員と取引先、お客様を守ることを最優先にして行動しましょう
・雇用を守る姿勢を明確にして、社員に伝えましょう。
・取引先やお客様の期待にこたえられるよう最大限の対応をしましょう。

3.長期化が予想されるため、早急に資金手当てを行い、方針を明確にして、常に社員と共有しましょう
・早急に資金手当てを行いましょう。売上減少などを想定し、財務体質を強化しましょう。
・経営指針などをもとに復興への方針を明確に示し、社員と共有しましょう。
・社内の危機管理体制の見直し・確立をすすめましょう。
・金融機関には、再建(復興)計画書を提示し、現状を正しく伝え、具体的な資金の使い道や返済計画なども明らかにして、対応しましょう。
・国や自治体の制度を活用しましょう。従来の制度も対象範囲が広がるなど、使いやすくなっている場合があります。また、新たな緊急時対応の制度が出ている場合もあり、多岐にわたりますから、正確な情報を得るために、公的支援機関や事務局に相談しましょう。

4.全国の会員ネットワークで「1人で悩まない」「1社も潰さない」取り組みを広げましょう
・全国の会員ネットワークを生かし、商品・サービス、経営資源、情報の交流や原材料・資材調達などを強化しましょう。e.doyuのSNSでもコミュニティーが作られています。
・1人で悩まず、仲間と顔を合わせてお互いの対応策を交流し、今後の取り組みに生かしましょう。
・悩んでいる知り合いの経営者を同友会に誘い、1社も潰さないために学びあいと励ましあいの輪を広げましょう。

5.「国民や地域と共に歩む中小企業」の実践として取り組みましょう
・「自粛」を避け、買い占めや便乗値上げなどを行わず、地域にお金が循環するように経済活動と社会活動を活性化しましょう。
・節電協力を行うなど環境問題への対応を再度見直し、実践を通じて、同友会理念を力に、他の団体とも連携しながら、地域と日本の復興に取り組みましょう。

 小さな仕事をたくさんつくり出し、雇用を守り、地域を守れるのは中小企業経営者だけです。私たちは厳しい現状に正面から向きあい、経営者であることに誇りを持ち、“今こそ同友会”の気概を持って、日本経済の新たな未来をつくるために、力を尽くしましょう。

 2011年6月2日 中同協第4回幹事会

「中小企業家しんぶん」 2011年 6月 15日号より