企業変革支援プログラム・ステップ1の活用で同友会活動を自己診断

【変革と挑戦】12

 各同友会の実践事例を紹介する「変革と挑戦」シリーズ。今回は、同友会活動の自己診断を行っている富山同友会の取り組みについて、富山同友会副代表理事・議案起草委員長の近江清氏から寄稿いただきました。

 富山同友会では、各部署の現状と課題を明らかにし課題克服につなげることを目的に、2009年度の活動総括で同友会活動の診断を実施しました。

 富山同友会では、企業変革支援プログラム・ステップ1(以下ステップ1)の活用がなかなか浸透しないことから、「少しでも身近にステップ1の活用方法や成果などを感じとってもらおう」との中曽根代表理事からの発案もきっかけとなりました。

 まず、議案起草委員会に、八嶋経営労働委員長(中同協経営労働副委員長)にも加わってもらい、当面の課題を抽出し具体的な取り組みを次の6項目に絞りました。(1)経営指針づくりに取り組もう、(2)三位一体(指針・共育・求人)の推進、(3)経営者として学ぼう、(4)学び合う仲間を増やそう、(5)地域と関わり、地域に発信しよう、(6)条例・憲章の学習運動をすすめよう、の6つです。そしてそれぞれの課題をステップ1に習い、0から5までの6つの成熟度レベル(表)に文章化しました。

 各支部では、年間総括時に幹事会で各自の視点で支部のレベルを採点し、集計して平均点を出し支部のレベルとしていきます。理事会では、会活動全体を採点しました。この結果を議案書で公開したところ、支部間での差が歴然としてきました。取り組み内容の濃さ薄さが、数字やグラフとなって現れました。

 さらに翌年、2010年度の活動総括の際も続けて行なった結果、例えば「条例・憲章への取り組みは、最も低く平均1・3でした(中略)。ただし、昨年平均0・96から、憲章の閣議決定や政策委員会の活動で確実に高まっています」など、前年度に比べて前進したかどうかも分析することができるようになりました。

 2年間実施した結果、ステップ1は、企業以外にも使用できることがわかりました。それぞれの支部や理事会の「立ち位置」がわかり、今後の取り組み課題に反映されることが、少しずつ理解できたようです。企業も同じですね。

富山同友会副代表理事・議案起草委員長 近江 清

表 成熟度レベルの例((1)経営指針づくりに取り組もう)

0「経営指針づくり」の必要性を認識していない
1「経営指針づくり」の必要性を認識しているが、明確でなく、その対応は場当たり的
2「経営指針づくり」の取り組みは、個別的、部分的に依存している
3「経営指針づくり」は、支部の知恵と情報を集めて体系的に策定している
4「経営指針づくり」の策定の仕方、情報の活用などについて支部内で定期的に見直されている
5「経営指針づくり」は、内部・外部環境の変化に適応し、支部会員の動機づけがなされ、全員参加で実現し外部からも高い評価を受けている

「中小企業家しんぶん」 2011年 7月 5日号より