【特集】第14回女性経営者全国交流会【特別あいさつ】岩手同友会・福島同友会・宮城同友会

被災者は敗者ではなく、新時代の幕開けをつげる勇者。使命をもった勇者。

 女性経営者交流会の懇親会では、東日本大震災で被害の大きかった岩手同友会の村松代表理事、福島同友会の高橋相双地区会長、宮城同友会の小野女性部会長より特別あいさつがありました。福島同友会の高橋相双地区会長のあいさつと会場全体の共感を呼んだ若者のメッセージを紹介します。

福島同友会高橋相双地区会長あいさつ

 女性経営者全国交流会に参加できたことをうれしく思います。震災後全国の方に励ましを頂き、同友会に入っていてよかったと福島同友会の会員みんなが思っています。みなさんから義援金やお見舞いなどを頂きありがとうございます。南相馬市は、原発から20キロメートル圏、30キロメートル圏、計画的避難区域、それから何でもないところという非常に複雑に分断されてしまいました。

 原発事故というのはとんでもないことが起こります。3月12日を皮切りに、原発で次々と爆発がおこりました。そして、1~2時間の間に何も持たないで逃げるという状況が続きました。そして20キロメートル圏内の人は、そのまま帰れない状況です。その無念さ、悔しさを思うと、原子力発電所のもう1つの顔を考えざるを得ません。電気が足りる足りない以前に、人の暮らしをこんなに簡単に根底から変えてしまうというものをどうしても考え直してほしいと思います。中小企業が力を結集して、新エネルギーを生み出すことが必要と強く感じています。

 震災から3カ月を迎える今、20キロメートル圏から会社を奪われてしまった人たちも、福島や郡山で会社を立ち上げはじめています。私たち30キロメートル圏の人たちも、このままではいられないと会社の再生を真剣に考えています。

 風評被害の現実に直面しています。製品をつくっても引き受け手がいなかったり、大口の取引先から断られたりということが続いています。どんなに厳しくチェックをして、安全だと言っても、いとも簡単に断られてしまう事態が続いています。ぜひ同友会のみなさん、私たちに仕事を与えてください。私たちはやれるだけの力をもっています。同友会のネットワークの力でよろしくお願いします。私たちの切なる願いです。

 南相馬の若者たちが今、動き出しはじめています。若者を中心に、沈んでいる街を少しでも盛り上げようと、活気づける旗をデザインをしてつくりました。少しでも元気になろうと取り組んでいます。その若者のメッセージを紹介します。

与えられる人から与える人へ

 「震災から1週間がたったころ、物を買い占める人たちの報道をみて、NHK大河ドラマの総集編で武田鉄矢さんが、作家司馬遼太郎さんの言葉を借りて、興味深い解説をしていたことを思い出しました。『命惜しむな、名こそ惜しめよ』もし命というものが、自分のためだけに使われるのなら命が途切れてしまう。もし私という命が、誰かの命を励ませば、その命はつながっていく。

 被災地に限らず、皆必死に日々の生活を送っています。『“ありがとう”からはじめよう』からはじまった活動の最終目標は、想いをつなぎ・命をつなぐことです。誰かのために必死に頑張ってくれている人がいて、忘れてはいけない命がある。大切な人を失った人、生きることで精いっぱいの人、みんなそれぞれつなぐことができる想いがあり、命があります。被災者は敗者ではなく、新時代の幕開けをつげる勇者。使命をもった勇者なのです。いつの日か、やさしく“ありがとう”と言える日を夢みて、ともにかんばりましょう。つながろう南相馬。」

 これは30歳の若者の言葉です。今回の震災でいろいろな良いことがありました。家族が力を合わせて一生懸命に生きていく絆ができました。従業員さんと本当に心からつながって会社を再建しようという輪が実感できました。いろいろな絆を、この同友会で広げて、日本全国で一体となって震災を乗り切っていきたいと思います。今までお力をお貸し頂いたことに御礼を申し上げます。ぜひこれからもみなさんのお力をお貸しください。よろしくお願いします。

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「中小企業家しんぶん」 2011年 7月 5日号より