地域と中小企業―復興の課題探る【中同協・企業環境研究センター公開例会】

 8月18日、「いま、地域と中小企業は何をすべきか」と題して中同協・企業環境研究センターの8月例会が東京同友会会議室で行われました。公開研究会として開催され、被災地の岩手同友会、宮城同友会からの参加を含む35名が参加しました。

 植田浩史氏(慶應義塾大学教授)は被災地の視察結果をふまえ、漁業、水産加工業を中心とした地域経済循環が破壊されている事態を報告し、これらが一体として復興されなければならないと指摘。また被災地での中小企業対策は既存の枠を超えた対応がされておらず、中小企業の立場に立った対策が求められること、具体的な政策要望を行う場合には、中小企業振興基本条例が制定されていれば実現するであろう事項を個別に求めていくことが重要だと提起しました。

 吉田敬一氏(駒澤大学教授)は東日本大震災で明らかになった日本経済の問題点の1つとして資源・エネルギー多消費型経済の問題点を挙げ、見直さなければならない時期に来ていると指摘。同時に再生可能エネルギー活用事例として岩手県葛巻町の事例を紹介、既に始まっている自然エネルギー自給の取り組みの芽を政府がしっかり育てていく姿勢をとるかどうかが問われていると強調しました。またこれまでの成長至上主義の日本経済から、成熟志向の産業も重視した構造へと転換することが課題であり、商品・サービスの質的成熟を担うのは地域の中小企業の役割が非常に大きいと述べました。

 瓜田靖氏(中同協政策局長)から中同協・中小企業憲章・条例推進本部が発表した「中小企業の見地から展望する日本経済ビジョン」 (2011年6月5日発表、討議資料)の報告も受けて全体討論を行い活発な意見交換を行いました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 9月 5日号より