【経済データを読む】 訪日外国人の動向

 震災後の特徴あるデータが出ています。観光庁の訪日外国人消費動向調査(2011年度4‐6月期)によれば、3月に発生した福島原発事故の影響から、観光客が前年同期の130.6万人から44.3万人に大幅減少(66%減)したのに伴い、旅行消費額も前年同期比46.9%減の1,208億円となり、前期(1‐3月)の1,976億円に比べても38.9%減と大幅に落ち込みました。

 来訪目的別で見ると、地域ごとの観光客の比率では、東北エリアで36%から10%に、関東エリアで55%から35%にそれぞれ大幅に減少しました。北海道や中部・北信越、近畿・中国・四国の各地でも観光客比率が下落しました。九州・沖縄エリアのみ、観光客比率が前年並みの47%でした(表)。なお、ビジネス客は55万人から41万人の25%減で、観光客と比べれば減少割合は小幅にとどまっています。

 訪日外国人が日本国内で旅行中に支出する平均額(1人当たり)は、震災前と同程度の約11万円で、前年同期と同水準でした。国籍別(地域別)の旅行消費額では、中国の299億円がトップで、韓国の168億円、台湾の167億円、米国の146億円、香港の111億円となっています。日本滞在中において、あると便利な情報として圧倒的に多い回答が「交通手段」で、次いで「飲食店」「宿泊施設」となっています。国(地域)別の観光客の消費動向を見ると、「買い物場所」では、韓国はスーパーやコンビニが増加、台湾でコンビニと100円ショップと土産物店が増加、中国は鉄道構内とコンビニが増加、と違いがでています。

 訪日外国人数は前年同月比で4月23%、5月39.6%、6月54.3%、7月71.5%、8月68.1%です。訪日外国人の日本における旅行消費額は1.2兆円(2009年度)にのぼり、国内すべての旅行消費額22.1兆円の約5.5%となっています。今後の動向を見る上で参考になりますので、「全国観光入込客統計」(観光庁)や「旅行・観光消費動向調査」(同)をぜひ1度ご覧ください。

表 主な宿泊地別にみる訪日外国人の来訪目的

「中小企業家しんぶん」 2011年 9月 25日号より