社員の声聞き取る力量こそ経営者に求められる~第25回社員教育活動全国研修・交流会in神奈川【中同協】

 第25回社員教育活動全国研修・交流会(中同協主催)が11月14~15日、神奈川同友会の設営で開かれ、28同友会・中同協と来賓を含めて302名が参加しました。今回の交流会は神奈川同友会第24回全県経営研究集会と合同で開催されました。

 1日目の記念講演は、当初予定していた鋤柄修・中同協会長に代わり、中同協社員教育委員長の本郷利武氏が講演しました。

 本郷氏は、「同友会の社員教育がめざしているのは、会社に必要な人を育てるのではなく、きちんと先を見て判断し、どこに行っても通用する社会人が育つ環境をつくることです。そのためには、さまざまな人の知恵を借りて取り組む必要があります」と話しました。その後、4つの分科会に分かれて学びを深めました。

 2日目は、横浜市立大学国際総合科学部教授の中西新太郎氏が「“今どきの若者”その背景を考える」と題して記念講演。中西氏は、「若者を使い捨てにする経済モデルと貧困化は、若者の人間関係のつくり方を大きく変貌させました。若者は“社会に役立つ、自立的な存在”を演じて生きざるを得ません。若者の声にならない声を丁寧に聞き取ることができるか、大人の側の力量が問われています」と話しました。その後、グループ討論と発表では「自社の若手社員の背景が理解できた」「若者観を改めなければ」と感想が語られました。

 最後に、本郷委員長が「貧困をなくす取り組みは、まっとうな経済活動を取り戻し、人間性を回復する取り組みです。経営者はそうした“志”と“ものさし”のバランスを持って企業経営にあたることが大切です。『ユネスコ学習権宣言』に大いに学んでいただきたい」と、まとめました。

 なお1日目には横浜市長の林文子氏、2日目には神奈川県知事の黒岩祐治氏がそれぞれ来賓としてあいさつし、行政と同友会との関係の深まりを示すものとなりました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 12月 5日号より