【静岡同友会志太支部】エコノミックガーデニングに学ぶ行政と企業の連携

 静岡同友会志太支部は、志太平野に跨(またが)る藤枝・焼津・島田の3市、約40社で構成されています。藤枝市が中小企業支援事業「エコノミックガーデニング」を策定したことを受け、同支部では、「エコノミックガーデニング」の学習や同市との意見交換などを行っています。

 人口減少社会の到来や少子高齢化の進行で地方の過疎・空洞化が進み、地域産業を取り巻く社会・経済環境が急速に変化する中、静岡県中部の藤枝市は、人口を持続的に増加させています(2010年総務省統計局調査)。

 藤枝市周辺では、昨年6月開港の富士山静岡空港をはじめ、この数年には新東名高速道路の開通、東名高速道路新インター設置などが予定されており、交通利便性を活かした新たな工業用地の確保や誘致施策が推進されています。

 また同市は、地元企業の経営基盤の強化推進のための「企業立地推進ビジョン」を本年度改訂しました。そのビジョンの柱の1つに、地元中小企業が地域活性の担い手として活躍できる環境を整え、成長させていく中小企業支援事業「エコノミックガーデニング」を策定、推進に乗り出しています。

 エコノミックガーデニングは1990年代にアメリカ・コロラド州リトルトン市が、地元企業に支援策を展開して、雇用と税収の増加を実現したものです。国内では群馬県足利市や埼玉県秩父市が先進的に導入しています。

 藤枝市は「産・学・官・民・金」の幅広い層で推進連絡協議会を設置して、具体的な協議をスタートさせています。本格化すると、企業経営に必要な情報提供や専門家派遣、融資支援など、中小企業のニーズに適材適所で支援策が実施されることになります。

 藤枝・焼津・島田の3市、約40社で活動する志太支部は、市の取り組みを知ることから始めました。昨年9月の例会では、エコノミックガーデニングの第一人者、拓殖大学政経学部の山本尚史教授を招き、企業育成と繁栄のビジネス環境づくりや行政と企業の望ましい関係づくりの必要性などを学びました。例会には藤枝・焼津市の副市長と産業振興部担当者、会員企業の約40名が参加しました。

 10月に全県経営フォーラムを同市で設営した志太支部は、続く11月に同市産業振興部産業政策課と意見交換例会を開催。エコノミックガーデニングをはじめ、市の融資制度や地元企業育成の支援策の説明を受け、意見交換を行いました。志太支部では今後も継続的に推進連絡協議会への参加をはじめ、地域と共に歩む企業づくり、地域づくりに取り組んでいく予定です。

※エコノミックガーデニングについては、山本尚史教授の著書『地方経済を救うエコノミックガーデニング』(新建新聞社刊)で詳細が紹介されています。なお本紙2010年5月5日号6面「本の紹介」欄で同書を紹介しています。

「中小企業家しんぶん」 2012年 1月 15日号より