連帯をさらに強め、全国から復興と日本経済再生のうねりを~第42回全研(福島県郡山市)全国から約1600名が集う

 東日本大震災発生から1年を直前にひかえた3月8~9日、福島県郡山市で第42回中小企業問題全国研究集会(全研)が開催されました。「震災1年、強い絆のもと、われら断じて滅びず」をテーマに全国47同友会から当初予定の1000名を大きく上回る約1602名(来賓・事務局員含む)が参加しました。中小企業家の連帯で被災地の復興と日本の再生を実現しようと決意を固めあう2日間となりました。

5時間にわたり学びを深めた分科会

 全研は分科会から幕を開けました。参加者は16の分科会に分かれて5時間にわたって学びを深めました。「原発30キロ圏からのレポート」と題した福島同友会担当の第7分科会ではスーパーマーケット経営の菊地逸夫氏((株)キクチ社長)と自動車リサイクル業の池本篤氏((株)ナプロフクシマ社長)が報告しました。

 菊地氏は、津波で水没した1店舗を除き翌日から全店舗を再開させた背景には、地域の食を支えるという使命感による社員の自主的な動きがあったこと、経営理念の社員との共有に重要な意義があったことを報告しました。どの分科会でもグループ討論では、福島の参加者から復興へ向けた奮闘が語られました。初日の夜の懇親会には原正夫郡山市長をはじめ福島県下各界から大勢の来賓が駆けつけ参加者と交歓しました。

福島の「元気な姿」発信を

 2日目の全体会では全16分科会の座長による分科会報告に続き、佐藤雄平福島県知事が来賓としてあいさつしました。佐藤知事は「今年は復興元年。福島県は安全で安心して暮らせる地域づくり、地域循環型エネルギーへの転換、避難している人が戻れるまちづくりなどに取り組みます。皆さんには“福島は元気だ”と全国に発信していただきたい」と訴えました。

 特別企画「私たちは負けない!」として行われたパネルディスカッションでは吉田敬一駒澤大学教授(中同協企業環境研究センター座長)をコーディネーターに迎え、地元・福島同友会から高橋美加子氏((株)北洋舎クリーニング社長、相双地区会長)、渡部明雄氏(アース建設(株)社長、いわき地区会長)、安孫子健一氏((株)建設相互測地社社長、福島同友会理事長)の3氏が発言しました。

 高橋氏は社員が安心して働くことができる町、子育てができる町をつくることが働き手の確保という観点からも急務と指摘、渡部氏は震災・原発事故直後に大手企業は自社の社員を守ることだけを考えた一方で中小企業は地域の暮らしと雇用を守るために奮闘したことを報告しました。安孫子氏は福島県三春町が自由民権運動発祥の地であることを紹介し、福島の中小企業は平成の民権思想を掲げて日本再生の基礎となる取り組みにまい進しようと訴えました。

 吉田教授は国の復興政策が「中小企業憲章」に基づいて策定されること、各地域では個性を尊重する形で中小企業振興基本条例の制定・活用運動に取り組むことが、復旧・復興にとって重要な意味を持つと強調しました。また、同友会の3つの目的と労使見解、経営指針の運動があったからこそ、会員企業の再生・復興に向けた動きが早かったと指摘しました。

特別アピールを発表

 2日間の最後、広浜中同協幹事長が「被災者との連帯をさらに強め、全国から復興と日本経済再生のうねりを興す」とする特別アピールを発表し(前号で既報)、これを満場の拍手で確認。来年の全研開催地となる福岡同友会の復興支援ソング「Smile Again」の大合唱と連帯のエールで感動のフィナーレとなりました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 3月 25日号より