産学連携による新たな仕事づくり、地域経済再生に向かって「新事業をつくる会」の取り組み【長野】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】16

 各同友会の実践事例を紹介する本シリーズ。今回は、産学連携による新たな仕事づくり、地域経済再生などを目指して活動する長野同友会の「新事業をつくる会」の取り組みを紹介します。

 2010年4月、長野同友会事務局が信州大学工学部キャンパス内の信州科学技術総合振興センター(SASTec)に移転し、それを契機として「新事業をつくる会」の活動がはじまりました。

 「新事業をつくる会」は、同友会が従来から進めてきた「人を生かす経営」、経営指針、共同求人、共育活動などの延長線上で、時代の変化やニーズに応えられる新たな仕事づくり・市場(産業)創出への活動・仕組みをつくることが目標です。主体的な産・産交流をベースに、大学や地域の中にある知恵を有効に活用していくことを目指して活動を進めています。

 工学部キャンパス内の各学科の視察見学会を隔月で開催したり、研究例会では大学の研究者から学び、同友会の会員の実践事例なども含め、産学官金の情報交換を積極的に行ってきました。

 昨年8月30日には、中小企業憲章制定と、「新事業をつくる会」1周年を記念して、「地域創造」特別シンポジウムなども開催してきました。

新たに研究室見学会・実践例視察会スタート

 今年に入って、産学連携による新たな仕事づくりにむけての活動を進めていこうと、3月28日に個別の研究室訪問・実践事例見学会がスタートしました。 第1回目は、バイオマス関連で活躍されている天野良彦教授の研究室(物質工学科)を見学し、バイオマス利用の社会的背景・活用状況・産業への可能性などについて学びました。その後、長野市内の会社で実践事例を視察しました。

 参加者からは、「エネルギーや食料の問題は本当に切実になってきています。孫末代につながる活動を今から手がけていきたい。」などの声が出されていました。

「同友ソルガムファーム」へ

 「ソルガム」とはコムギ・イネ・トウモロコシ・オオムギに次いで第5位の生産高で、5大穀物の1つに数えられている植物です。用途は、食用・飼料・燃料などに活用でき、今後のエネルギー・食料・環境という3つの課題を一緒に解決できる可能性を持っています。長野県内の自治体でも、遊休農地利用として、栽培がはじまっているところもあります。

 長野同友会では、1つの仕事づくりへの典型例になるよう「新事業をつくる会」の中で希望者を募り、6月から先の天野教授の指導のもと、「同友ソルガムファーム」をスタートさせることとなりました。

 今年の秋には畑一杯、約3メートルに伸びたソルガムが実る予定。さまざまな商品化を目指して、実践的な活動を進めていくことになっています。

「中小企業家しんぶん」 2012年 5月 5日号より