自社の客観的評価は「経営者の責任」~エイベックス(株) 代表取締役会長 加藤明彦氏(愛知同友会代表理事)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】23

 企業変革支援プログラムステップ1(以下ステップ1)の活用事例を紹介する本シリーズ。今回は2012中日本ブロック代表者会議(5月9~10日、静岡)での報告から、エイベックス(株)・加藤明彦代表取締役会長(愛知)の実践を2回に分けて紹介します。

企業変革支援プログラムはなぜ必要か

 企業変革支援プログラムを活用することがなぜ必要なのでしょうか。まず「労使見解」の基本である「経営者の責任」を果たすためには、自社を客観的に自己評価することが求められるからです。決算書に数字は出ますが、その結果がなぜ出たのか、プロセスが大事です。企業変革支援プログラムは、そのプロセスを振り返り、自社を第三者的に自己評価できるのです。

 第2に、経営指針(経営理念・方針・計画)の整合性の確認ができるからです。経営理念が社員に本当に理解されているか。理念が方針・計画に具現化されているか。その整合性を見るための1つの指標として非常に有効なのです。

 第3に、同友会と企業を「不離一体」のものとし、自社の発展につなげるためです。私は1999年に東京で開催された中同協総会に参加し、人材育成と市場創造が大事だと学び、この12~3年間、徹底的に追求してきました。それが結果的にリーマン・ショックを乗り越える力になりました。企業変革支援プログラムを通じて、同友会での学びを本当に自社に取り入れているか、理念を原点から確認することができるのです。

ステップ1で見えた会社の課題

 当社では、経営計画は役職者が参加して、自分たちで考えてつくっています。ところが社員とステップ1をやってみた時、社員から「やらされ感がいっぱい」「経営者に押し付けられている」という表現が出てきたのです。私は社員とのギャップがあることと、自分の甘さに気づかされました。よく考えると、経営計画をつくる時は、「こういう考えでやるべき」ということを言っていましたので、その枠の中での「自主性」だったのです。

 当社は8名で経営会議を行っています。以前そのメンバーでステップ1に取り組んだことはあったのですが、もう1度やってみることにしました。今回は、ただ点数をつけるだけでなく、なぜその点数をつけたのかを記述してもらうことにしました。そしてその点数から上の点数にランクアップさせるにはどうすればいいのかも書いてもらいました。そうすると会社の実態が見えてきたのです。

 当社は創業63年目で、昨年は過去最高の売上を記録しました。しかしステップ1をやることでまだまだ問題点があることがしっかり見えてきました。

 また、ステップ1は3年前から取り組んでいますので、経営会議のメンバー8人の評価をまとめ、平均点の推移を出しました。すると伸びている点もいくつかありました。平均点の伸びている部分は、わが社の強みと考え、この点については自信をもとうと考えました。

(7月5日号につづく)

「中小企業家しんぶん」 2012年 6月 15日号より