【経済データを読む】障害者雇用について

 来年4月から民間企業の障害者雇用率を現行の1.8%から2.0%にする諮問が厚生労働省の労働政策審議会から答申されました。5年ごとの見直しがあるため、厚生労働省もこの答申で政令改正の予定となります。この間の法定雇用率を見れば、1977年から1987年までは67人以上の企業に1.5%の雇用義務、1988年から1998年までは63人以上の企業に1.6%の雇用義務、1999年から56人以上の企業に1.8%の雇用義務となっています。今回雇用率2.0%引き上げと同時に、50人以上の企業へ規模が引き下げられます。雇用実態はどうなっているのかの参考にデータを掲載します(表)。

 統計表によればハローワークの紹介による就職が伸び、また56人以上の法定雇用企業の雇用数も伸びていることは展望のもてる数字に見えますが、障害者数の推移は隔年統計でみな違うため年度では出せません。身体障害366万人(2006年)、知的障害54万人(2005年)、精神障害323万人(2008年)を合計すれば743万人(人口比約6%)で56人以上の企業の障害者雇用数が約36万人なので、4.8%しか雇用していないことになります。全企業の障害者雇用数の推計は無いのですが、56人以下の中小企業の方がより多くの障害者を雇用していると考えてもおかしくない数字です。

 現在さらに発達障害児童が生徒の6%、うつ病が人口比8.8%となっていますが、国際比較でみると、人口比では少なく、今後障害者数はさらに増えていくことは必然です。

 経済団体で唯一障害者雇用の委員会をもっている同友会の取り組みの強化が求められます。障害者雇用の取り組みについて、大分同友会のホームページにある「同友会ニュース」の実習企業受け入れ企業マップが参考になります。

表 障害者雇用数とハローワークによる就職

「中小企業家しんぶん」 2012年 6月 25日号より