企業と地域の未来切り拓く調査活動―同友会景況調査報告100号記念企画開催

 中同協企業環境研究センターが発行する同友会景況調査報告(DOR)は、1990年の刊行以来22年、四半期ごとの景況調査と特別調査を重ね、第100号となりました。中同協ではDOR発行100号を記念し、8月7日に東京・立教大学で記念企画を開催、首都圏をはじめ北海道や九州など全国の会員、大学関係者ら約100名が参加しました。

経営を振り返り、景気を見通す力をつけるDOR

 今回の企画は、中同協と立教大学経済研究所、東京同友会が共催しました。冒頭、疋田康行・立教大学経済研究所長、湯本良一・東京同友会相談役が開会あいさつ、鋤柄修・中同協会長が開催趣旨説明を行いました。

 第1部「同友会景況調査の意義と今後の方向」では田浦元・拓殖大学准教授がDORを中小企業庁、日本公庫、日本銀行調査と対比させて「DORは主体的で敏感な回答が特長的」と解説。次いで野水俊夫・野水鋼業(株)社長(千葉)、橋本勝・蔵前産業(株)社長(群馬)が「社内の営業会議で利用している」(野水氏)、「金融機関との金利交渉の参考にしている」(橋本氏)とDORの自社での活用法を報告しました。

 続いて菊地進・立教大学教授が講演し、「経営を振り返り、景気を見通す力をつけ、行政・金融との協議や政策活動に使える資料となっている」とDORの成果を指摘。またDOR100号で実施された「経営指針策定状況」のオプション調査結果について報告しました。

調査活動が地域づくりに有意義な指針与える

 第2部シンポジウム「調査活動で地域の未来を切り拓く」は、植田浩史氏(慶應義塾大学教授)がコーディネーターとなり4人のパネリストが発言。和田寿博・愛媛大学教授と鎌田哲雄・愛媛同友会事務局長は、愛媛県東温市での全事業所調査(東温市、東温市商工会、同友会、愛媛大学の4者が連携)と中小企業振興基本条例制定の取り組みについて報告。根岸裕孝・宮崎大学准教授と中村昭人・なかむら屋代表(宮崎同友会会員)は、宮崎県川南町での地域産業連関分析と口蹄疫被害からの復興の取り組みについて報告しました。

 最後に吉田敬一・駒澤大学教授(中同協企業環境研究センター座長)が、「企業づくりと地域づくりは重要な相関関係があり、これらを統一的に取り組むことがますます重要になっている」とあいさつし、閉会しました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 8月 25日号より