本気で社員とともに“めざす企業像”への変革を-(株)スカイファーム 代表取締役 川西裕幸氏(香川)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】26

企業変革支援プログラムの活用事例を紹介する本シリーズ。今回は中同協第44回定時総会第3分科会での報告から(株)スカイファーム代表取締役・川西裕幸氏(香川)の実践を紹介します。

 私は香川県高松市でイチゴ専業農家を営んでいます。香川同友会の「経営指針を創る会」に参加し、これからは高い志をもって農業経営を行うことを誓い、経営指針書を作成しました。

 しかし、その当時作成した経営指針書は、自分の独りよがりで作っていたので、経営が良くなることはありませんでした。

自社の弱みを突きつけられたステップ1

 「企業変革支援プログラムステップ1」(以下ステップ1)ができた2009年に、私も実際に取り組んでみると、自身と自社の弱みをグラフという「目に見える形」で痛いほど突きつけられました。その後、就業規則の作成や正社員の雇用、新規事業の立ち上げなどに取り組んできました。

 今年に入ってステップ1をある社員にやってもらったのですが、「対等な労使関係」という項目で0レベルという結果でした。自分では「対等な労使関係」がそれなりにできていたと思っていましたが、社員はそうは思っていませんでした。

 これを改善していかなくてはならないと思いましたが、具体的な改善方法が分からず悶々としていました。

 そんな時に出合ったのが「企業変革支援プログラムステップ2」(以下ステップ2)です。

「企業プロフィール」の活用

 自社の目指すべき方向性を確認し、変革(デザイン)していくために用いるのがステップ2の中の「企業プロフィール」です。

 創業時は「イチゴを生産する農家」でしたが、これからは「新しい農業の仕組みをつくる農家」に企業変革していくことを「我が社の現状の事業ドメインの確認」という項目で再確認できました。

 「企業プロフィール」に取り組むなかで、新しい企業像や方向性、そして課題も明らかになってきました。

 まずは、改善したい箇所や伸ばしたい箇所を絞り込んでレベルアップするために、「自己分析シート優先順チェックシート」で総合点が一番大きい項目「新事業への仕組みと体制」と一番小さい項目「自社をめぐる情報収集と分析」から優先的に取り組み始めました。

 まず「自社をめぐる情報収集と分析」をレベル2からレベル3に上げるために着手しました。これまでお客さんにアンケートを取っていたのですが、近年は怠っており、さらには社内で分析を行っていませんでした。そこでまず社員と共有することから始め、改善していくことにしました。

 さらに「対等な労使関係」を築くために、業務改善シートを作成しました。社員には働きやすい職場環境を目指すためのアンケート調査を行い、月2回の幹部ミーティングにより社内の業務改善をはじめました。

 次に「新事業への仕組みと体制」においては最高成熟度レベルの5を付けていたくらいでしたので、改善するところは無いと思っていました。

 しかし、「レベルアップ目標の確認」の「レベルを上げるために必要な事項の傾向」を見てみると、実際はできていない箇所がたくさんありました。レベル5ではなく3でした。特に定期的な見直しができていないことが判明しましたので、これから社員とともにその仕組みづくりに取り組みたいと思います。

 これからも社員とともに「新しい農業の仕組みをつくる企業」へ「変革」「自社をデザイン」していき、さらにステップアップするために積極的に「企業変革支援プログラム」を活用していきます。

「中小企業家しんぶん」 2012年 9月 5日号より