Ⅱ 経営理念を実践する過程―(3)経営計画の策定

【社員とともにめざす企業像へ変革を~企業変革支援プログラム ステップ2】10

1、経営計画の意義

 経営とは適切な目標を持ち、それに向かって進み、目標を実現することです。その際どのような手順で、誰が担当して、いつまでに行うのかを決めるのが経営計画です。経営計画なしの経営は成り行き経営といわれ、勘と度胸だけに頼ることになり、現在では企業の存続そのものが危ぶまれます。

 経営指針では、経営方針(戦略)でたてた中期経営目標を具体的行動に移すためのものが、経営計画です。中期経営計画と単年度経営計画があります。単年度のみの計画では、どうしても目先のものを優先する近視眼に陥りがちです。中期経営計画を考えることで、より広い視野からみた計画が可能となります。組織、体制、分担、責任者、スケジュールなどが示されることになります。

2、企業変革支援プログラムの活用

 企業変革支援プログラムステップ1及びステップ2では、経営計画を策定する上で、留意すべき点をいくつか述べています。

 (1) 経営計画を策定するツールや手順を決めておく。

 (2) 計画の策定は特定の個人や部署に依存するのではなく、全社の知恵や情報を集め、体系的につくること。

 (3) また策定の仕方、情報の活用を定期的に見直すことが必要です。毎年同じことの繰り返しでは、すぐマンネリ化します。やり方を改善することで、全社員のやる気や自主性を持続的に保持することが可能となります。

3、経営計画策定に当たって留意したいこと

 中期経営計画は中期目標の実現という面のほかに、経営体質改善という面も持ちます。働きがいのある会社の実現に向けて、社員の労働条件改善にも力を注ぎたいものです。そしてそれを可能とするだけの体力のある会社をめざしましょう。

 また単年度経営計画では、何といっても赤字にはしない観点から、損益分岐点分析を行い、必要売上高を把握し、それを上回る売上計画の立案が求められます。

 経営計画を策定することで、社員一人ひとりが、何をやれば良いかわかることが求められます。そのために全社計画だけでなく、部門計画までつくることが肝要です。

(有)コンサルタント朋友 代表取締役 奥長弘三(東京)
中同協企業変革支援プログラム検討プロジェクト委員

「中小企業家しんぶん」 2012年 10月 15日号より