北海道・釧路からコツコツと被災地支援~(株)あんずカンパニー 社長 須藤 隆昭氏【北海道】

移動鍼灸院で心とカラダのケア

 東日本大震災の被災地で地道に支援活動を続けている、釧路市の鍼灸院「杏園堂」経営、須藤隆昭さん(北海道同友会・釧路支部副幹事長)は岩手同友会から感謝状を受けることが決まりました。

 須藤さんは昨年7月、「自分も何かお手伝いを」と陸前高田市を訪れました。想像をはるかに超える惨状を目の当たりにした須藤さんはすぐにホームセンターに行き、テントなど、鍼灸を施すための必要最低限の資財一式を購入しました。朝市の会場に即席の治療院を作ったところ、2日間で17名が来院。仮設住宅での生活が原因で極度のストレス状態にあった患者は、行き場のない悲しみと憤りを須藤さんにぶつけたといいます。改めて事態の深刻さに直面した須藤さんは「継続的なケア体制を作らねば」と思いを強くし、一旦釧路に帰りました。

 悩んだ末にひらめいたのは、キャンピングカーを使った「移動鍼灸院」でした。知人が車を譲ってくれることになり「さとわ号」と命名しました。8月に再び被災地入りし、地元会員のアドバイスを受けながら、スーパーマイヤ駐車場前で無料の鍼灸院を開設しました。その後、会員の支援の輪が広がり、須藤さんの情熱と行動力に感銘した岩手同友会会員・松田和也氏((有)教成館 社長)が無償で一関市内の駐車場を提供しています。

 「さとわ号」による鍼灸院は、基本的に月1回程度、今年10月までに11回運営し、9月までにのべ217名を施術。鍼灸師は、杏園堂の現役スタッフに加え、同社から独立した元スタッフも全国から駆け付けています。須藤さんは「ありがたいことに、『さとわ号』を心待ちにして下さる方も増えてきました。少なくとも3~4年は継続し、1000人を目標に施術したい」と、意欲を語りました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 11月 15日号より