「一社もつぶさない、つぶさせない」金融円滑化法終了を控え、緊急特別例会開催【岩手】

 岩手同友会では11月8日、金融円滑化法の来年3月期限切れを控え、緊急特別例会が行われました。東日本大震災発生直後から「1社もつぶさない、つぶさせない」を掲げ、どんな環境下においても社員と共に企業を守り、一歩ずつ前進することを確認してきました。しかしながら1年8カ月が経過し、経営環境は目まぐるしく変化、また被災前からの少子高齢化や人口減少の地域課題が急激に進みつつあります。

 そこで第一部では、中同協の松井清充専務幹事が、まず自社の立ち位置を明確にするために、中小企業をめぐる情勢と時代認識について報告。松井氏は、日本全体が縮小の時代を迎える中、さらに円高や空洞化の問題が深刻化してくること。そして円滑化法終了後すぐには影響は見えないが、資金繰りの問題次第では不渡り続出も懸念されることを挙げました。同時にその対応策として、モノの豊かさではなく心の豊かさをいかに提案していくか。そして何があっても対応できるように現状認識を正しく持ち、危機感をもって取り組むことが提起されました。

 第2部の緊急特別講演では、企業再建専門弁護士、村松謙一氏が、「魂の会社再建」~どんなことがあっても「いのち」を守る」をテーマに講演。村松氏が再建した企業は全国に100社をこえ、現在も依頼が絶えません。その理由は相談者に寄り添い、決してあきらめず企業を存続し「いのち」を守ることを、ご自身の使命として実践されてきたからに他なりません。

 参加者からは、「企業を守ることは命を守ること」「経営者はいかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任がある、という労使見解の精神を貫くことこそ」とあらためて言葉を噛(か)み締める姿が印象的でした。今被災地に求められるのは、理念を貫き、社員と共に地域に根ざした企業づくりを、より強固に実践すること。それでも難しいと判断したときには、どんなことよりも、いのちを守る。その決断ができる知識と能力を身につけることが危機において求められていることを確認しました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 5日号より