衆院選各党選挙公約に見られる中小企業重視の流れ

12月4日公示、16日投開票となる第46回衆議院議員選挙が始まりました。中同協は、今回の衆院選にあたり、全候補者に「中小企業憲章の国会決議」を要請しています。2010年6月に閣議決定された中小企業憲章の理念の理解を広げ、国民の総意である国会決議を経てより実効ある政策実現をめざしています。

 総選挙にあたり各政党は、選挙公約を発表していますが、そのなかから、中小企業政策に関する部分をひと通り読んでみました。

 各党により、政策文章の長短、重点課題の置き方に違いはありますが、総じて次の共通点のあることがうかがえます。

 第1に、地域経済を支える中小企業の役割を重視する傾向にあることです。「雇用の7割以上を支える中小企業が元気になることを抜きに日本再生は考えられない」との認識に濃淡はあっても近づきつつあるといえます。

 第2に、中小企業支援施策の重点項目である金融支援、税制の工夫、不公正取引の是正、事業承継の円滑化など、施策が具体的になってきました。国の中小企業予算の大幅増(倍額以上)を掲げる主張が目立ってきました。

 第3に、当面する金融円滑化法終了後の事態への懸念が高まり、延長などを含めて「倒産激増」とならぬよう支援策を強める配慮が見られます。

 第4に、中同協や他の中小企業団体と連携し運動を進めている中小企業憲章の国会決議や中小企業振興基本条例推進を明記する政党が複数となってきています。これらの流れは、中同協や中小企業団体の運動の反映と言って良いでしょう。

 もちろん、今回の選挙では全国民の悲願である大震災復興政策の充実とスピーディな対応の真剣度が問われています。大きな争点となっている原発・エネルギー問題、消費増税、長期停滞からの脱却などは、一国民の立場からも熟考が求められています。

 私たちは、中小企業の地域社会における責任を果たすためにも、同友会3つの目的の3番目「経営環境改善」の声をいっそう高めていくことが大切です。

(K)

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 15日号より