企業活動から見た空洞化動向

 経済産業省の平成24年企業活動基本調査で「平成23年度の製造業の海外子会社保有割合25.6%と過去最高に(前年24.9%)、1企業当たり7.4社と国内子会社5.1社を上回る」と報じられました。企業活動調査の内容を見ると従業員50人以上かつ資本金3000万円以上の37876社中回答32504社の企業調査結果で中堅・大企業の分析になっています。

 「平成23年度の1企業当たり常時従業者は456人、前年度比▲0.4%の減少。うち正社員・正職員は301人、同▲1.6%の減少、パートタイム従業者は128人で、前年に引き続き調査開始以来の最高値。製造企業の正社員・正職員は341人で調査開始以来最も少なく、製造企業のパートタイム従業者40人は調査開始以来の最高値」と2011年段階で製造業と情報通信業で落ち込みがひどかった状況を、正規社員を減らしてパートを増加させること、また海外展開を進めていることで対応していることが明白な数字になっています。

 主な業種の特徴を見ると、製造業では日本で作れないという理由での海外子会社数の増加が続いています。そして、EUと北米地域の子会社を減らし、中国とその他の地域が増加しています。卸売業の変化は少ないですがEU地域に増やしていることが特徴です。小売業では海外展開が多く増えているわけではありませんが、特に日本で物が売れない中、中国で売る方向で強めていたことがわかるデータになっています。

 昨年の尖閣問題で中国との関係がこれからどう変化するかはまだ分かりません。自公政権になってやや円安にはなりましたが、リーマン・ショック前の100円台に比べてまだまだ円高と言えるので、海外展開対応がまだまだ続くなか国内の空洞化は広がっていくと見える状況です。

表1 主要産業の国内・海外子会社の推移 ・ 表2 海外子会社地域別構成比の推移

「中小企業家しんぶん」 2013年 1月 25日号より