震災前の相互交流が大きなうねりに【福島】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】26

 福島同友会の環境委員会では、宮城同友会の地球環境委員会との交流を深めてきました。今回の「変革と挑戦」では、交流から生まれた福島同友会の環境委員会の活動を紹介します。

 同友会の活動で大切なことは、平時に次のアクションへつながる行動の芽をいかに積み重ねられるかということ。福島同友会の環境委員会と宮城同友会の地球環境委員会が震災前に構築したささやかな相互交流が新たなダイナミズムを生み、大きなうねりになりつつあります。

震災前の交流

福島同友会いわき地区(会員数222名)の環境委員会では、2009年より始まった環境経営の推進とCO2削減を目指す「同友エコ」の活動実践を学ぶべく、2011年2月に宮城同友会の(株)伸電を訪問しました。その後、同社の佐藤弘樹社長(中同協地球環境副委員長・宮城同友会地球環境委員長)が、いわき地区環境委員会セミナーで報告。佐藤社長からは同友エコへの全社的な取り組みと、毎年の経営指針見直しの際に環境経営理念の行動実践の徹底化を図るることで、環境経営とは特別なものではない、経営指針の一側面ということなどについて報告がありました。

震災直後の例会で環境経営を学ぶ

 そして、訪問した翌月、2011年3月11日の東日本大震災を経験しました。震災3カ月後のいわき地区6月例会では、原発停止による節電の機運に、環境委員会設営で「同友エコ」をテーマに「環境経営による企業革新でピンチをチャンスに!」として宮城同友会の佐藤弘樹氏、佐藤全氏が体験報告を行いました。これは震災前の交流をきっかけに宮城同友会環境委員会へ依頼して実現したものです。宮城、福島の被災地間同士の情報交流をすすめました。

 いわき地区環境委員の石井清さんが全県の環境委員長を兼ねていたこともあり、同友エコを活用した震災復興を推進することで、同友エコへのエントリー数が急激な伸びを見せ、35社中19社をいわき地区会員が占めました。このような経緯から同友エコ2010では福島同友会、宮城同友会は同友エコ特別賞を受賞しました。

福島・宮城の合同地球環境委員会での学び

 宮城同友会の仲間から得た学びから、(株)マルベリィ代表取締役桑名基勝氏(当時いわき地区環境委員長)が、自社のFC外食店舗である、びっくりドンキー5店舗での環境経営の取り組みを行い、社員さんの自主性を引き出す全社的な環境経営を実践。省エネだけでは終わらない成果を上げました。その経営実践の視察のため、宮城同友会「地球環境委員会」が、2012年9月に、いわき地区へ視察に来ることで合同委員会を開催。前後には、いわき地区役員との交流会や会員企業見学を織り交ぜ、さらなる交流の輪が広がりました。そのような流れの中で、昨年10月同友エコ2011表彰式では、同友エコ大賞に福島同友会の富士ゼロックス福島(株)が受賞。福島同友会と宮城同友会の地球環境委員会の交流から大きなうねりを生み出しました。

「中小企業家しんぶん」 2013年 2月 5日号より