Ⅳ 市場・顧客及び自社の理解と対応状況 (3)顧客の満足度の把握

【企業変革支援プログラム ステップ2】18

 「高い品質の商品を提供し、顧客からの高い信頼、期待と満足が実現できる企業となるために満足度調査が実施され、その結果に基づく見直しと実行が出来ていますか」の問いかけは、経営者としては当然の関心事です。

 ポイントは、「お客様は、あなたの会社の商品やサービスに満足していると思いますか。その根拠は何ですか」という点です。「会社が存在できている」ということは、お金を支払い商品を購入している顧客がいるということです。大切なことは、その顧客が「価値」をどう感じているかです。

 この点では、第44回中同協定時総会(2012年7月)で、顧客の感じる価値を「機能的価値」に対峙し「『意味的価値』とは、顧客の側が商品に対して主観的に意味づけすることで生まれる価値」としました。そして、「中小企業は意味的価値の市場を限定して考えることができる」ので「実はこうした意味的価値を提供しやすいのも中小企業」であり可能性に満ちていると分析しています。

 実は、顧客が何に価値を感じているかを認識する壁が「内向きの作業目線」です。供給側は、とかく商品を作ることに腐心し苦闘しています。結果として、社内から顧客を眺めがちです。当社も「制度改正への対応」「コンピューターが壊れた」「ソフトの更新をどうする」などの対応で日々振り回されています。

 そんなある日、わが家の母が倒れ、介護保険のケアプランが必要となり、当社のケアマネージャーが面談することになりました。

 驚いたことに、ケアマネは、事務所では見たことがない優しい笑顔で母の手を握り「元気になりましょうね」と声をかけました。家族は「何でも丁寧に教えてくれる人だ」とすっかり頼りにしました。

 利用者と家族が「幸せに在宅で生きること」を理念にしてきましたが、私の目はいつの間にか「ケアプランの作成」という作業に目が奪われて「利用者と家族」が幸せに在宅生活を続ける支援をしていることの「意味的価値」の認識が薄れていたことを教えられました。手を握って話をするケアマネの姿が本当の価値だと気づかされたのでした。

 把握の仕組みは「満足度調査」など多様ですので、業界や会社の実情をふまえて創造的な方法を具体化しましょう。

香川県ケアマネジメントセンター(株) 代表取締役 林 哲也(香川)
中同協企業変革支援プログラム検討プロジェクト委員

「中小企業家しんぶん」 2013年 2月 15日号より