社長と社員の共育塾―社員の“気づきの場”を提供【石川】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】27

 石川同友会共育学部では2010年から「社長と社員の共育塾」を行なっています。三位一体経営の1つである社員教育を深め、経営者と社員が共に学び自己成長を遂げる“気づきの場”の提供を目的に始まりました。

 具体的には、経営者・幹部・社員が一緒に参加し、討論の中で他社の企業風土に触れ、経営者は社員の生の考えを聴き、社員も経営者の考えを学んでいきます。

 最後に企業別懇談を行い、何を学び、感じたのかを経営者自身が理解し明日からの実践に活かします。朝礼などで報告していても、社員は経営者が同友会で何をしているか知らない場合も多い中、共育塾で実際に経営者が同友会で日頃どんな勉強をしているか発信する場にもなっています。

 第1期は全5回に分け、第1回では労使見解の歴史と基本的な考え方、第2回からは経営体験報告、特に社員との信頼関係構築のための実践に焦点を当て報告し、経営者・幹部・社員が共に学びを深めました。

 第2期では全4回に分け、第1期の方針を引き継ぎつつ社員集団パワーズ(経営者と共に「3つの目的」の実現を目指し、自らの資質向上などを目的に会員企業の社員が独自に例会・交流会などを行う石川同友会の組織)の会員2名・共育学部副学部長2名の4名で「幹部社員から見た共育」をテーマにパネルディスカッションを行いました。社員と共に育ち合う企業風土を作る上での、幹部社員の役割と社内コミュニケーションの重要性についてそれぞれの立場で討論し、気づきを共有しました。

 第3期では「社員と共に育ち合う企業風土を作ろう 実践編」と題し、経営指針を社員と共に実践している会員の報告を聞きました。第1回の討論の中で、経営指針が無い企業の社員から「指針とは何か? 何故必要なのか?」という意見が出たため、第2回では報告に入る前、経営指針そのものについての説明も行いました。

 また、特別編寺小屋として経営者の塾生を対象に中同協の赤石相談役幹事を招いて「人を生かす経営」について学び、テクニック論に陥らないよう本質を深めました。

 今年度第3期(全12回)までで、延べ188社、536名が参加しました。本稿作成時点で次年度方針の最終調整中ですが、第4期共育塾を継続して行う方針です。

 共育塾開始時に掲げた「経営者と社員が共に学び自己成長を遂げる“気づきの場”の提供」という目的から逸れずに経営者・幹部・社員それぞれの立場から社員教育について考え、学び、実践していきます。

「中小企業家しんぶん」 2013年 3月 5日号より